交際ゼロ日婚でいきなり妻の妊娠が発覚…真実を知って44歳夫がホッとした理由

  • ブックマーク

 女性用風俗が流行っているという。実際、周りに利用している女性たちもいる。結婚していても性的な満足感が得られるとは限らない、だが家庭人としての夫には不満はない。

「足りないところを外注するだけ」

 割り切って風俗を楽しむ女性たちは、「今さら夫と生々しい関係にはなりたくない」とさえ言い切る。愛と性は別だと考える女性たちは増えているが、その数はおそらくほんの数パーセントだろう。

 私たちは「女性は愛と性を区別できない」「女性は嫉妬深く、独占欲が強い」と刷り込まれてきた。だが、それは男女の特徴ではなく、個人差に過ぎないのかもしれない。今までは歴史的に「男の浮気」が許されてきただけだ。今の時代は、男性の不倫も断罪されるようになっている。

「男にとっては生きづらいですよね。というか、結婚しているかどうかにかかわらず、相手がひとりで満足できる人とできない人がいるというだけのことだと思う」

 そう言うのは、高倉裕之助さん(44歳・仮名=以下同)だ。彼は厳格な両親のもと、あらゆる言動を制限された子ども時代を送った。

「父はいわゆる地元の名士というんでしょうか。といっても、代々、村長だったとか村会議員だったとか、親戚に教育関係者が多いとか、その程度ですよ。母方は事業をやっていた家系で、母自身もここ20年くらいグループ会社の社長、会長を歴任しています。僕はひとりっ子でしたが、まあ、めんどうな家でした」

 大きな家で人の出入りも多かったが、なぜか家の中はいつも「ひんやり」していたという。父方の祖父母も、父の弟妹も同居していたのに、彼はお手伝いさんが見守る中、いつもひとりで食事をしていた記憶しかない。

「本当は家族で食事をしたこともあるはずなのに、覚えているのは広い台所でひとりでご飯を食べているところだけ。家族との関係はそのくらい薄かったんでしょう。でも祖母が母に文句を言い、母が言い返しているところに父が現れて母を殴りつけているシーンは何度も見たような気がするんです。僕自身、記憶を適当に塗り替えているのか、何度も上書きしてしまったのかわかりませんが……」

 育った家庭に楽しい思い出はひとつもないと彼は言い切った。毒親だと言いながらも、親を擁護する発言をする人も多い中、ここまで突き放して語る人は珍しい。

「愛情に飢えていたんだとは思うけど、その愛情というものがどういうものなのかわからないから、飢える方法が見えないというか。卑屈な少年時代でした。あまり体が丈夫ではなかったからスポーツも不得意。テレビも見せてもらえなくて友だちと会話もできない。成績が落ちれば父親からの制裁があるんです」

 和室で正座させられ、父親から成績が落ちた理由を問われる。子どもだからもちろん、うまく答えられるはずもない。柱に縛りつけられ逃げ場がない状態で殴られた。暴力は数発で終わるからたいして気にはならなかったが、その様子を障子の影からこっそり母が見ているのが嫌だった。

次ページ:目撃した「父と母の異様な関係」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。