「無期懲役では反省しない」死刑判決を受けた当事者の肉声 世界を取材をしてたどり着いた「死刑制度を残すべき理由」
死刑があっても安全な国
この言葉を聞いた私は、死刑か否かの確定が近づく前科なしの上村と、再犯で無期懲役となった礒飛の二人が、同じ凶悪犯でも性質の異なる存在に映った。人間性の差はもちろんある。だが、死を覚悟する上村からは、人への「情」を感じとることができた。
死刑は、殺人事件を犯した人間が己を知り、己の罪と向き合いながら改心する力を与え得るものだ。死刑の目的が執行そのものであるならば、それは悪なのかもしれない。しかし、死刑には確実に「意義」が存在している。
日本はこの先、欧米の問題も視野に入れながら、独自の死刑存廃議論を重ねていけばいいのではないだろうか。少なくとも、死刑があっても安全な国が、死刑がなくても治安の悪い国におもねらなければならない理屈を、いまの私は理解することができない。
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