大谷翔平の大活躍を支えた寝具メーカーが明かす「睡眠への徹底したこだわり」 機内にマットレスを持ち込み、睡眠時間は?
大谷の寝具をサポートする「西川」
そもそも、大谷は二刀流。それだけでも重労働だが、今大会ではキャンプ地のアメリカ南西部から来日し、1次ラウンドと準々決勝を戦った後、また準決勝、決勝が行われるアメリカ南東部へと戻っている。日本とマイアミとの時差は13時間。時差ボケも甚だしかったはず。見ているこちらが心配になるほどのハードスケジュールをこなしたのだ。
これが可能になるよう、
「彼は睡眠について、ものすごく気を使っている」
とは、さるスポーツ紙のベテランWBC担当記者。
「移動中の仮眠も含め、1日8時間半から9時間は寝ているそうです。量だけでなく、睡眠の質を測定するバンドも着けているとか」
その「寝る力」の一端を知るのが、寝具メーカー「西川」だ。同社は日本ハム時代から大谷に寝具のサポートを続けているという。
「大谷選手は体が資本という考え方が非常に強く、食事や運動と同じく、睡眠をトレーニングのひとつのように捉えています」
と述べるのは、同社マーケティング戦略部の広報担当者だ。
「当社では、眠る際のコンディションを最適にできるよう、オーダーメードの枕やマットレスなどを提供しています。2年に1度、体形や筋肉量を測定し、体にぴったりフィットする寝具を提供しているのです」
その枕たるや、調整機能が14カ所あり、ベストな高さになるタイプとか。マットレスも3Dスキャナーで120万点ほどの身体データを計測し、それを基にジャストフィットさせたものだというからすごい。
「普段は、自宅で当社の寝具を使うのはもちろん、遠征先のホテルに泊まる時にも枕とマットレスを持ち込んでいらっしゃるとか」
このWBCでも、
「日本での宿泊ホテルに枕とマットレスを持ち込んでいました。マイアミへ発つ機内も同じでしたので、そこでも使用されていたことと思います」
万全の準備があったからこその活躍だったのである。
“みんなのお母さん”
その大谷の一挙手一投足に注目が集まるにつれ、常に傍らにいるこの人の存在もクローズアップされた。
ロサンゼルス・エンゼルスで大谷の通訳を務めている水原氏だ。
「今大会で果たした役割は非常に大きかったですね」
とは、別のスポーツ紙の中堅WBC担当記者である。
「大谷に同行するだけでなく代表の通訳も務め、日本語が喋れないヌートバーの世話をしたり、監督が外国人審判に抗議をする際に間に入ったりしていました」
それだけでなく、前述のように、大会前はヌートバーを勧誘するなど、スカウト役の一端も務めていたし、
「代表選手たちとの食事会に同行し、あるいはイタリア代表として来日したエンゼルスの選手に店を紹介するなど、マネージャーばりの行動力。ヌートバーが“みんなのお母さん”と呼ぶほどでした。さらには、監督やコーチ、選手にメジャーの選手の特徴などを聞かれたりもしていましたから、データマンのような役割も果たしていました」
それゆえ、「31人目の選手」「影のMVP」と評する声も少なくなかったのだ。
水原氏は北海道生まれ。6歳の時、アメリカで和食店を開いた父と渡米した。大学を卒業した後、ボストン・レッドソックスに在籍していた岡島秀樹投手の通訳となったのが転機だった。
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