東北・信州の人々はビタミンD不足? “死亡率が1割増”という最新研究も

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 ビタミンCやビタミンAなら知っているけど、ビタミンDの効用は? そう聞かれてすぐに答えられるだろうか。実は骨密度を増加させるほか、動脈硬化を防ぎ、がんの予防にも役立つ大事なビタミンである。もちろん食物から摂取できるが、注目すべきは太陽光に当たることによって皮膚で合成されることだ。

 福岡女子大と国立国際医療研究センターなどの研究チームが、このほどビタミンDの摂取量と死亡リスクの関係を解析した結果を発表した。それによると、解析対象としたのは、日本人約9万4千人を追跡したコホート研究のデータ。1990年~93年に秋田県から沖縄県まで全国11カ所に住んでいた40~69歳の男女で、98年実施の食事調査に回答した、特定の病気を患っていなかった人の死亡率を調査。これを2018年まで追跡したという。ちなみに、コホート研究での調査は保健所を拠点に行われており、実施されなかった場所もある。たとえば北海道や青森県のデータはない。

なぜ地域差が?

 その結果、岩手や秋田、新潟、長野など、日本でも高緯度に位置する地域に住んでいる人たちは、ビタミンDの摂取量によって死亡率に約12%の差が出た。摂取量の多いほうが死亡リスクが低かったのだ。また、女性についてはビタミンDの摂取量が多い人たちが、少ないグループに比べて死亡リスクが約13%低いという結果も。ビタミンDはサケやニシンといった魚類、キクラゲなどキノコ類に多く含まれている。これらを使った食事が健康維持に役立っていることが確かめられたわけだが、地域や性別によって変わるのはどんな理由だろうか。

「地域で差が出たのは紫外線の量です。紫外線の当たり過ぎは皮膚がんのリスクもありますが、たとえば、茨城県つくば市では7月だと15時から約10分間、顔と両手を露出した状態で、1日当たり摂取推奨量の5.5マイクログラムのビタミンDが作られることが分かっています」(医療関係者)

 また、研究の中心になった福岡女子大学の南里明子准教授によると、

「女性は日焼け止めを塗ったり、日傘をさしたりするなど日光を浴びることが比較的少ないと考えられますので、食事からのビタミンD摂取による予防作用が大きいと考えられます」

 いうなれば女性もすっぴんで外を歩き回ったほうがいいということである。「色の白いは七難隠す」もほどほどに。

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