オリックスは「近藤、吉田で3、4番を組むはずだった…」 夢の打線は幻に…今オフは山本由伸“流出”の難題

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吉田はボラスへの交代でMLB行き進展

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の14年ぶりの優勝に興奮が冷めやらないなか、オリックス関係者はレッドソックスの吉田正尚(29)、ソフトバンクの近藤健介(29)両外野手が名を連ねた打線に、こう話した。

「今年、吉田と近藤が一緒にうちでプレーしていてもおかしくなかった。(昨オフに西武からFA移籍した)森(友哉捕手=27)に彼らが加われば、球界随一の強力打線が完成していた。2年連続日本一もはっきりと見えたはずだった」

 吉田は昨年12月、ポスティングシステムでレッドソックス入り。交渉解禁と同時に昨オフの鈴木誠也外野手(カブス)の日本人野手最高総額、5年8500万ドル(約110億円)を超える5年総額9000万ドル(約117億円)で電撃合意した。

 代理人は辣腕スコット・ボラス氏だった。

「いくらボラスといえども、あの契約は驚いた。吉田は昨季終盤、メジャー球団の感触が芳しくなく、一時は挑戦を断念することを考えた。状況を打破しようと9月に代理人をボラスに代え、そこから一気に話が進展した」(米大手マネジメント会社の代理人)

 ボラス氏はあの手この手で、吉田をMLB球団に売り込んだ。ボールにコンタクトする高い技術、三振が極めて少ないデータ……。若くはなく、守備走塁はウリにならない。しかも、MLBでは近年、外野手で鬼門になっている日本人打者である。

「ボラスが代理人になったことで、トップバッターを探していたレッドソックスは早くから興味を示した。本拠地球場の左翼には(巨大フェンスの)グリーンモンスターがあり、守備範囲を問われない。吉田のウイークポイントの悪影響を抑えられると踏んだ」(同代理人)

 打者目線で見ても、本拠地フェンウェイパークは右翼まで約92メートルと短い。左打者の吉田がWBC準決勝のメキシコ戦で放った右翼への起死回生の同点3ランのような飛球は確実に本塁打となる。ファウル地域が狭いことも特徴で、「打者有利」の球場で知られる。

「左翼までの距離も短く(約94メートル)、広角に打ち分ける技術が持ち味の吉田なら日本でレフトフライになっていた打球がフェンス直撃の長打になる可能性が高まる」

 グリーンモンスターは守備同様に、吉田の味方になりそうだ。

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