冬ドラマでベストの演技を見せた俳優は誰か 男女の主演、助演で4人を選んでみた

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ベスト助演女優:三浦透子(26)NHK「ドラマ10 大奥」、日本テレビ系「ブラッシュアップライフ」

 映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年)で世界的に高い評価を受けてから2年。活躍の場は広がるばかりだ。

「大奥」には第9話から9代将軍・家重役で登場。これも難しい役だった。言葉がうまく話せず、体も思うように動かせないから、コンプレックスを抱いていた。それが引き金となって、酒や男に走った。うまく演じないと、ただの放蕩娘に見えてしまう。

 それだけではではない。母である8代将軍・吉宗(冨永愛・40)のことを尊敬し、慕っていたが、一方で自分を信頼しないことに不満を抱いていた。葛藤があった。

 もっとも、家重が本当は心優しい女性であることを三浦は伝えきった。父代わりだった杉下(風間俊介・39)が病に倒れると、表情を強ばらせながら枕元へ駆けつけ、全身から悲愴感を漂わせたからだ。

「ブラッシュアップライフ」で演じたのはマイペースで物怖じしない河口美奈子。人生8周目だが、すべて市役所職員の道を選んでいた。職場で他人の湯飲みを悪びれずに使う三浦の仕草が笑えた。

 第10話。主人公の麻美は希望する飛行機に乗り込むことが絶望的になり、なっちとみーぽんの救出は失敗かと思われた。しかし、9周目人生でこの航空会社の客室乗務員になっていた河口の悪魔的行動によって窮地を脱する。

「ソッコー匿名で奥さんにチクったんですよ」(河口)

 この便に搭乗するはずだった機長から、市役所時代に不愉快な思いをさせられていた。このため、機長が愛人と一緒にこの便に乗ることを知るや、密告した。これにより、機長は搭乗をキャンセル。麻美は代わりに操縦桿を握り、なっちとみーぽんを助ける。

 河口が機長への報復を麻美に自慢するシーンが出色だった。河口は文字通りのドヤ顔。そっくり返って、鼻の穴を見せていた。

「マジでザマぁ。地獄に落ちろって感じですよね」(河口)

 機長から詰められた市役所時代のTシャツに「Go to hell(地獄へ行け)」と書かれていたのはご記憶の通りだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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