“友人の処刑”を見せられ失神 軟弱と見なされた王の真価を描き出した「たった一人の画家」
君主の“無言の苦しみ”を描きだした画家
古今東西に「名画」と呼ばれる絵は数多あるが、モデルを描いた作品は多い。ピカソには「7人のミューズ」がおり、女性が変わるたびに画風が変わったといわれ、日本では岸田劉生にとっての娘・麗子が著名だろう。モデルと密室で対峙する濃厚な時間は、画家に特別な刺激を与えるのだろう。
画家とモデルの関係は異性同士に限らない。ルネサンス時代のヨーロッパでは、君主が自身の権力を示すための肖像画を画家に発注する例が多かった。その場合、モデルは画家にとっては超のつく有力顧客ということになるので、独特な緊張感があったにちがいない。...