アンチエイジングの権威がオススメする食材は? 片足立ちが10秒できない人は危険? 「残念な老化」を防ぐ方法とは

ドクター新潮 ライフ

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片足立ちが10秒できない人は…

 二つ目の運動は「バランス力を鍛える」です。私が所属する愛媛大学の抗加齢・予防医療センターでは、10年以上にわたって「老化」と「開眼片足立ち時間(目を開けて片足で立つことができる時間)」の関係性を研究してきました。その結果、片足立ちができる人ほど寿命が長くなる可能性が高いことが分かっています。

 具体的には、片足立ちが1分間できない人は筋肉量と骨量が低下していること、また390人(平均年齢67歳)に対して、上限1分間で片足立ちをしてもらったところ、片足立ちできる時間が短い人ほど脳の萎縮が進んでいることが判明したのです。

 さらに、ブラジルの研究チームが1702人を対象に行った調査では、片足立ちが10秒できなかった人は、できる人と比べて何らかの原因で10年以内に死亡するリスクが84%も高いことが明らかになっています。

 こうしたことから、バランス力のキープが残念な老化を防ぐのにとても有効だといえます。したがって、1分間の片足立ちを1日3回、できれば左右ともに行うことをお勧めしています。1分間が難しければ、もう少し短い時間でも構いませんし、片足立ち自体が難しければ、例えば人差し指を壁や机につけて支えを作りながらやるのでもいいでしょう。やはり大事なのは、できる範囲で続けることです。

「10歳若返り」の答え

 最後に、冒頭で触れた「10歳若返り」について詳しく説明しておきたいと思います。

 現在の75歳の人の歩行速度は、10年前の65歳の人の歩行速度とほぼ変わらない――。最近、こうしたデータが示されています。つまり、みなさんの健康長寿への意識の高まりによって、私たちはすでに10歳の若返りに成功している。若返りは現実であり、夢ではないのです。

伊賀瀬道也(いがせみちや)
愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授。1964年生まれ。愛媛大学医学部卒業。公立学校共済組合近畿中央病院循環器内科、米国Wake Forest大学・高血圧血管病センターなどを経て、2006年に国立大学では珍しかったアンチエイジング研究のための抗加齢センター(当時)を開設。日本抗加齢医学会、日本老年医学会等に所属。『100歳まで生きるための習慣100選』などの著書がある。

週刊新潮 2023年3月16日号掲載

特別読物「『抗加齢医学』の権威が推奨する『100歳』への道 老けないための『最強習慣』 」より

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