アンチエイジングの権威がオススメする食材は? 片足立ちが10秒できない人は危険? 「残念な老化」を防ぐ方法とは
食欲をセーブするには
とはいえ、人間の本能である食欲を抑えるのは簡単ではありません。先ほど説明したように、無理をしても仕方がありませんし、続きません。そこで、無理をしないで食欲をセーブするためには、一口で30回くらいかみ、早食いを防ぐことがお勧めです。早食いは、脳から満腹のサインが出る前に大量の食事を摂取することにつながってしまうからです。食材を大きめに切ったり、固い食材を使うといった調理の工夫をすることでも、自然とそしゃく回数は増やせるので試してみてください。
次に、食事に続く若返り術として「運動」を紹介したいと思います。
こちらも、食事と同様に数多の「健康長寿運動」が存在します。「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎを鍛える、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)を防ぐ要である太ももトレーニングをする……。
なかでも、やはり食事と同じ観点からお勧めの二つの運動を挙げたいと思います。
一つは「1日4千歩以上歩く」。言うまでもなく、二足歩行は人間の生命活動の基本ですので、若返りのための最優先の運動といえます。その上、ウオーキングほど手軽にできる運動はありません。極めて原始的で基本的な運動にもかかわらず、ウオーキングには高血圧、骨粗鬆症、うつ病、認知症などに対するさまざまな予防効果が報告されています。私たちの研究でも、ウオーキングによって骨年齢が8歳若返ったり、内臓脂肪の減少などいろいろな健康増進効果が明らかになっています。
最低4千歩
また、約1万5千人を対象としたアメリカの研究では、8千歩までは歩けば歩くほど寿命が延びる傾向が認められるが、8千歩以上になると効果に大きな差がないとのデータが示されています。したがって、残念な老化を防ぐためには1日8千歩のウオーキングが理想です。しかし、これが意外と難しい。
私自身、自宅からあえて遠いバス停まで歩いてキャンパスに通うなどしてウォーキングを意識しています。スマートフォンに内蔵されている歩数計機能で常に歩数を記録しているのですが、それをいま見てみると……。
5359歩。
これが、記録を残し始めてからの私の1日平均歩数です。せわしない現代の生活において、やはり1日8千歩のハードルはかなり高いと言わざるを得ません。
そこで私は、「毎日8千歩を理想としつつも、最低4千歩はクリアする」ことを推奨しています。約4千歩でうつ病予防効果、5千歩程度で認知症予防効果があるといった研究結果が報告されていることから、最低4千歩を基準にしているのです。ここでも、できる範囲でやることが重要だといえます。
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