「道端ジェシカ」なぜ逮捕容疑が一般には知られていない「麻薬特例法違反」だったのか
「その他の物品」でも検挙対象
だが、この説明に首を傾げる読者もいるのではないか。
組織のメンバーがロードローラーを掌中に収めたとして、彼らが手にするのは覚醒剤ではなく、あくまでも「氷砂糖」だ。それでも、彼らを罪に問うことなどできるのか。結論から言えば、捜査員は氷砂糖を手にした組織のメンバーを逮捕することが可能だ。
CCD捜査を規定する麻薬特例法8条2項にはこう記されている。
<薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。>
つまり、実際には「その他の物品」であっても、それを「薬物犯罪を犯す意思をもって」取引した者は検挙の対象となるのだ。
***
道端容疑者の事件でも、MDMAを「その他の物品」に変えていた可能性はある。薬物事件の最前線では、日夜、こうした捜査が続けられているのだ。