「罠の戦争」はいよいよ最終章へ 鷲津了を裏切った事務所の人間は誰なのか

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表現力が図抜けている草なぎ剛

 草なぎ剛の名演が光る。鷲津の罠によって、鶴巻が倒れたことを伝えるニュースを観る顔付きが印象深い(第9話)。陰湿で冷たい笑みだった。

 まるで、故・松田優作さんが映画「遊戯シリーズ」(1978~79年)で、狙った人物を射殺した後のような表情だった。草なぎは怒ると故・高倉健さんを彷彿させるし、表現力が図抜けている。

 鶴巻役の岸部、竜崎役の高橋、鴨井役の片平たちも相変わらず巧み。鶴巻の老獪さ、竜崎のしたたかなところ、鴨井の野心が浮き彫りになっている。うまい大人の俳優たちが勢ぞろいした作品とも言えそう。

 全11話となった理由は編成に関わることなので、制作する関西テレビは説明を控えるものの、海外展開や動画配信を考えてのことでもあるのだろう。同局は海外展開、動画配信に熱心だ。

 一般論として、海外展開を考えると、回数は少しでも多いほうがいい。日本のドラマは海外のドラマと比べて回数が少なく、これが海外展開のネックになりがちだ。韓流ドラマや米国ドラマ、英国ドラマを観ている人ならご存じのはず。

 動画配信も回数が多いほうがいい。回数が多いと、結果的に品揃えが増えるのだから。そう考えると、第10話から最終章が始まるのも不思議ではない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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