選抜高校野球、優勝候補を次々に撃破!ミラクルVを達成した“伝説のチーム”
「何とか1回戦だけは突破したかった」
第95回選抜高校野球が3月18日に開幕した。センバツはひと冬越して大きく成長したチームが旋風を起こす例も多く、中にはノーマークから一気に頂点まで駆け上がった“ミラクルチーム”もある。【久保田龍雄/ライター】
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まず1978年、静岡県西部のチームで初の日本一を達成したのが、浜松商である。同年はPL学園、桐生、高松商が“ビッグ3”と注目され、2年連続Vを狙う箕島、早稲田実、豊見城などの強豪も横一線だった。浜松商は前年秋の東海大会で準優勝していたが、決勝で中京(センバツは不祥事で出場辞退)に1対6と完敗しており、前評判はそれほど高くなかった。
2年生エース・樽井徹も、「あの大会は新聞なんかの予想で、うちが1回戦で負けるように書かれていた。だから、何とか1回戦だけは突破したかった」(『報知高校野球』1997‐No.3)と回想している。
だが、1回戦で益田を3対0で下し、当初の目標をはたすと、2回戦の早実戦では、1対4とリードされた7回から3イニング連続得点と大逆襲に転じ、鮮やかな逆転勝ち。「泣けてきました。本当にうれしい」と磯部修三監督を感激させた。
森下知幸主将が「2回戦で早実に勝った自信が大きかった」と振り返ったとおり、勢いづいたチームは、準々決勝で東北を3対0で下したあと、準決勝では桐生の大会屈指の左腕・木暮洋を攻略して、思ってもみなかった決勝戦に駒を進める。
そして、決勝の福井商戦も、2、8回に挙げた2点を、樽井が8安打されながらも無失点で守り切り、ついに「信じられなかった」(樽井)頂点に立った。「優勝旗は本当に重いですね」の感想を口にした森下主将は、2007年にも常葉大菊川の監督として2度目のセンバツVを実現している。
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