【追悼】大江健三郎さん 日本人2人目のノーベル文学賞受賞者の素顔
映画監督の伊丹十三氏は義兄
翌年、光氏との生活をモデルにした小説『静かな生活』が映画化された際には、大江夫人・ゆかり氏の実兄で、義兄にあたる伊丹十三氏が監督を務めた。
光氏とともに撮影現場を見学した際には、
「自分の作品はこれまで3回映画化されているが、(略)腹が立ってしまって、どれも観ていない。でも、今回は伊丹さんが私の表現したいことを映画の形でよく語ってくれていると思う」
と、満足気だったそうだ。
それ以降も精力的に執筆活動を行いながら、自身の政治的理念を追求し、文学史に名を刻み続けた。
叡智ある作家が亡くなった悲しみは、彼の残した著作に触れることによって癒やすしかない。