「飛ぶゴルフ」に終止符か ボールの飛距離制限案でゴルフ観戦がつまらなくなる
選手は反対
とはいえ、現段階の提案は、その対象が少々曖昧である。
このボール規制は「エリート・レベルの大会」でのみモデル・ローカル・ルール(MLR)として適用されると記され、「リクリエーショナル・ゴルファー」は対象外と記されている。だが、「エリート・レベル」の定義が明記されていないのだ。
一般的に考えて、PGAツアーや欧州のDPワールドツツアー、米下部ツアーのコーン・フェリー・ツアーなどは「エリート・レベル」と言えるのだろうが、他のプロツアー、あるいはトップアマの大会のどこまでが「エリート・レベル」なのかも記されていない。
提示された数字から判断すれば、適用される対象は男子の「エリート・レベル」のゴルファーと考えるのが妥当だが、新規定が米LPGAなど女子のプロツアーにも適用されるのかどうかには一切言及がない。
しかし、直接的な影響を受けることになると感じ取った男子選手たち、とりわけ飛距離自慢のロングヒッターからは、すぐさま激しい不満の声が上がった。
PGAツアーのジャスティン・トーマス は「ゴルフにとって最悪の規定だ。たった1%のゴルファーのボールを規制することで何がどう変わるのか。何の意味もない」と怒声を上げている。
だが、新規定を提案したUSGAのマイク・ワン会長は「私たちはゴルフ界の今ではなく未来を考えている。選手たちの飛距離がどこまでも伸びれば、ゴルフコースは対応できなくなる」と反論した。
さらに、R&Aのマーチン・スランバーズ会長は「飛距離がどんどん伸びる現状やゴルフコースの限界点が近づきつつある現状を知りながら何もしないのは無責任だ」と述べた。
それでもトーマスは「だからと言って、1990年代のボールに戻す必要はない。より遠くへ飛ばすために僕らが日々努力してきたことが否定され、制約されるなんて絶対反対だ」と真っ向から反発している。
やはりPGAツアー選手のサム・バーンズ も「ファンは僕ら選手がドライバーをかっ飛ばすところを見に来る。わざわざ飛ばないゴルフを見に来て喜ぶはずはない」と、トーマス同様、新たな提案に反対している。
[3/4ページ]