59歳「松本人志」は本当に65歳で引退するかもしれない…58歳で引退した大先輩が遺した言葉の重み
上岡龍太郎は58歳で引退
上岡龍太郎(80)は横山ノック(1932〜2007)の誘いでトリオ漫才の漫画トリオを結成(当時の芸名は横山パンチ)して売れたが、ノックが参議院議員選挙に出馬し当選したことでトリオは活動休止に。芸名を改め、ピンで活動するようになった。博識で立て板に水の語り口は舌鋒鋭く、在阪局の「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)や「鶴瓶上岡パペポTV」(読売テレビ)、東京でも「上岡龍太郎にはダマされないぞ!」(フジ)など司会者として活躍した。
そんなさ中、1997年に「2000年に芸能界デビュー40周年を迎える。僕の芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい」と宣言すると、その言葉通り2000年にスパッと引退してしまったのだ。当時58歳だった。
「現在、松本さんは『探偵!ナイトスクープ』の3代目局長を務めていますが、自己紹介の『わたくしが局長の松本人志です』というセリフは初代局長だった上岡さんから受け継いだもの。松本さんが敬愛する島田紳助さん(66)が尊敬したという上岡さんですから、影響されるところもあるのでしょう」
なぜ上岡は引退したのだろう。引退後は横山ノック、立川談志、桂米朝らの葬儀などでしか公の場に出ていないが、著書を出版した際に「週刊朝日」(2003年9月12日号)のインタビューでこう語っている。
後追い引退も
《もう、一緒に仕事したいなあと思う人も、あんまりいなくなりました。逆にね、後半、だいぶ感じてましたが、自分との接し方に若い芸人が困っているのがわかるんです》
そして、今田耕司(56)、東野幸治(55)と同じ新幹線に乗った時のエピソードが語られる。
《「明日はよろしくお願いします」言うから、「ああ、こちらこそよろしく」言うて。そっから、ほぐれない。どうしよう、何を話したらええんや、という戸惑いが感じられた。ああ、もう、そうなんやなあと思いましてね》
バラエティ番組に対する苦言もあった。
《テレビのバラエティも変わりました。仲良し同士でしかやらないでしょう。藤田まことさんも言うてましたけど、「てなもんや三度笠」なんか、大変な緊張感があった。仲のいいことはええこっちゃと武者小路実篤も言うてますけど、番組としてはあんまりおもしろくないんですね。会話にも知性がなくなる》
「耳の痛い話ですね。上岡さんは自分が視聴者から知的なイメージで見られていることはよくわかっていて、年を取ってイメージが壊れることを良しとしなかったとも聞きます。松本さんにも同じような気持ちがあるのかもしれません。もし彼が本当に引退したら、追随する芸人が出てくるかもしれません。東野さんも60歳でテレビ出演を控えるといった引退宣言をしていますし、松本さんを見習って早期の引退を計画する芸人が増えるのではないかと危惧する声も出ています」
[2/2ページ]