【追悼】“中華の鉄人”陳建一さん 13年前に語った“まかない”の真髄「お腹を満たすためだけのものじゃない」

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 3月11日、間質性肺炎のため都内の病院で死去した料理人の陳建一さん(享年67)。会長を務めていた四川飯店グループが14日に発表すると、その死を悼む声が全国に広がった。90年代前半から“中華の鉄人”として出演した「料理の鉄人」(フジテレビ)や講師を務めた「きょうの料理」(NHK)など、愛嬌あるキャラクターで人気を集めた陳さん。「料理は愛情」と伝え続けたその人生を、「週刊新潮」のバックナンバーから振り返る。

(以下、「週刊新潮」2010年1月14日号をもとに編集。金額や肩書きなどは当時のまま)

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「まかないはね、白いご飯に合うもの。これが一番だよ」

 元気良く箸を動かしながら陳建一さんが言う。ご存じ、料理の鉄人、赤坂四川飯店の代表である。この日、一人分の材料費25円の昼食メニューは、「揚げ豚肉と大根の蒸籠蒸しスープ」「春雨とひき肉の豆板醤煮込み」「胡瓜の豆板醤和え」「鶏肉のから揚げ甘酢ソース」。多くに四川料理の真髄、豆板醤を駆使している。

「火加減、焼き方で色と香りが変わってくる。いかに使いこなせるかが僕らのテーマ」

 お客さんのランチタイムが終わると同時に作り始め、15~20分で完成。3つのガス台を自在に操りパパッと手早く。50人の従業員たちの食事である。この店では朝、昼、晩と3食、まかないがある。

「朝は店に入って1年目、昼は2、3年目の子が作るけど、夜は店の食材と同じもので、お客さんに出せる寸前の人が作る。制限された時間で、50人分。能力を試されるんです。 まかないはお腹を満たすためだけのものじゃなく技術を向上させるためのもの。段取り良く、計算しながら」

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