「舞いあがれ!」の史子役で異彩を放った八木莉可子 今後も注目すべき若手女優の“凄さ”とは

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初登場からインパクトがあった「舞いあがれ!」の史子

 そして朝ドラ「舞いあがれ!」である。演じたのはヒロイン・岩倉舞(福原遥)の幼馴染で、歌人の梅津貴司(赤楚衛二)のファン・秋月史子。史子は自らも短歌を詠むものの、誰にも見せられないでいた。そこで、偶然目にした貴司の短歌に心を打たれ、貴司になら自分の短歌を見せられると考えて、遥々会いに来る。

 八木自身が普段から短歌を詠んでいることもあり、「ときに……」や「忌憚なきご意見を」といった古風な言葉遣いがうまくハマっていた。しかし、何と言っても初登場の場面からしてインパクトが大きかった。

 貴司が主人を務める古本屋「デラシネ」に、遠慮がちに「こんにちは」とやって来た史子は「やっと会えました」とまずは感慨深げな表情をみせる。そして自作の短歌を読んでもらい、貴司から好意的な感想を伝えられると突如すすり泣きを始めた。さらに貴司が差し出したハンカチで涙を拭きながら、「短歌は、私の……命ですから。それ否定されたら生きていかれへん」と、ドキッとするような一言を発するのだ。

 そしてトドメは帰り際だ。傍にいた舞に「あの、奥様ですか?」と尋ね、舞が否定すると「良かった」と笑顔を見せたのである。この一連の演技で観る者が感じたのは、史子にはどこか“重たい雰囲気”が漂っているということ。貴司に自作の短歌を差し出す時の上目遣いも印象深かった。

 史子は基本的におとなしく内気な性格だが、「梅津先生(=貴司)の短歌の一番の理解者は自分である」という思い込みが強く、貴司の素朴な短歌を評価せずインパクトや読者受けを重要視する担当編集者のリュー北條(川島潤哉)に激高するなど、危うい面も併せ持っていた。

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