注目の「和歌山1区補選」で自民候補にまさかの黄信号 “沈黙の二階元幹事長”と“青ざめる世耕弘成氏”
いずれは総理に
ところが、すんなりとはいかなかった。
「岸本氏の知事選出馬表明以降、誰を和歌山1区の候補者とするかは、ずっと保留になったままだったのです。というのも、門氏は、妻子ある身でありながら、2015年、週刊新潮に、自民党衆院議員・中川郁子氏との“路チュー”を写真付きで報じられた。以来、支持者は減り、党が独自に行った調査でも、門氏の人気がないことが明らかに。“門では勝てないのでは”と、公認を出すのを渋ったのです。そして、別の候補として名前が上がったのが、和歌山県選出の現職参院議員・鶴保庸介氏だった」
自民党の調査でも、門氏よりは、鶴保氏の方が良かったことから、候補の座は鶴保氏に傾きつつあった。
「が、これに難色を示したのが、同じく和歌山県選出の参院議員で、経産大臣などを歴任し、現在は自民党参議院幹事長を務める、世耕弘成氏でした。というのも、世耕氏は野心家で、“いずれは総理に”と考えており、その前段階として、近い将来衆院への鞍替えを狙っている。そんな中、鶴保氏がこのタイミングで鞍替えをしてしまうと、“同じ和歌山で続け様に2人も参院から鞍替えとは何事か”と批判を受けかねない。ということで、“この二択なら、できれば門氏を”と暗に匂わせたのです。もっとも、県連会長である二階元幹事長からすると、門氏も鶴保氏も二階派であるため、どちらが候補者になろうと問題はない。候補者を決定する会議でも、沈黙を貫き通していました」
ウルトラC
なかなか結論が出ない中、決め手となったのは、事態の端緒を作った、他ならぬ岸本氏だった。
「岸本氏が、長年の敵であった門氏を応援すると約束したのです。門氏の持つ票に、岸本氏の票が加われば、流石に不人気の門氏でも、当選するのではないか、となった。こうして、2月の半ばに、和歌山1区の候補者が、門氏に決まったというわけです」
門氏は紆余曲折を経て、かつてのライバル・岸本氏を味方にするというウルトラCで、再びリングに立つことが許されたという次第。選挙区内には、世耕氏との2連ポスターが貼られ、あとは告示日を待つばかりとなった ――。が、事はそう簡単には運ばないのが選挙の常。早くも門氏の当選に、黄信号が灯っているのだという。
自民党関係者が嘆く。
「我々が恐れていた最悪の事態が起きました。関西で抜群の強さを誇る日本維新の会が、候補者を出すと表明したのです。しかも、女性の現職和歌山市議会議員で、女性スキャンダルという“前科”を抱える門氏からすれば、一番戦い難い相手。つまり維新はこの補選を、勝ちに来ていると言うことが、はっきりとわかったのです」
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