アリババ創業者が潜伏拠点にしている銀座の社交クラブとは? 「一般のエレベーターは止まらない」
中国のEC(電子商取引)最大手「アリババグループ」創業者のジャック・マー(馬雲)氏が東京にいると英フィナンシャル・タイムズ電子版が報じたのは昨年11月のことである。
マー氏が公の場から姿を消したのは2020年、中国の金融当局を強く批判し、習近平総書記の怒りを買ったことが理由だ。以後、中国国内でマー氏の姿を見かけることはほとんどなくなり、スペインやオランダなどで目撃されるようになる。
そのマー氏が、日本に滞在するようになったのは22年からだという。箱根には、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏から買った別荘もあるが、活動の拠点にしたのはやはり都心部だった。
同紙はこう書いている。
〈馬氏の所在を直接的に知る関係者らによると、東京ではお抱え料理人とボディーガードを帯同し、人目に付く活動は最小限に抑えているという〉
〈人と会うのは会員制クラブが中心で、その一つは東京都心の高級地区の銀座、もう一つは皇居に面したオフィス街の丸の内にある。メンバーの話では、銀座の会員制クラブは東京に居住、あるいは長く滞在する中国人富裕層の隠れ家的な社交場になっている〉
一般のエレベーターは止まらない
昨年暮れ、マー氏に会ったという人物が明かす。
「その会員制クラブというのは、銀座4丁目の交差点にほど近いビルに所在しています。7階にあって、そこだけ一般のエレベーターは止まらないようになっている。また、同じビルの10階には高級中華レストランがあるのですが、マー氏はビジネスの話をするときはこの店をよく利用していました」
高級中華レストランには表通りを見下ろせる個室もある。人に見られずに過ごすにはもってこいだ。
「実は会員制クラブと中華レストランは、中国系量販チェーンが実質的に所有しており、マー氏が利用するようになったのは量販チェーンの会長と仲がいいからと聞いています。マー氏の日本滞在中は会長が公私にわたって面倒を見ていました」
そこで、その量販チェーンに取材を申し込むと、
「弊社が回答する立場にはございませんので、お応えは控えさせていただきます」
ここで息を殺し、習近平総書記の怒りが収まるのをじっと待っていたのか。