センバツ「大阪桐蔭」が最多タイ5度目の優勝か? “番狂わせ”を狙う対抗馬、ダークホースを徹底検証

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強豪校を追走する「近畿勢」

 総合力は、ここまで挙げた大阪桐蔭と広陵、仙台育英がリードしている印象だが、これらを追走するチームは、報徳学園(兵庫)、智弁和歌山(和歌山)、履正社(大阪)といった近畿勢だ。

 報徳学園は、プロのスカウト陣が熱い視線を送るキャッチャー、堀柊那をはじめ、センターラインを固める選手が、昨年のチームから残っている。

 昨秋の近畿大会決勝では、大阪桐蔭に敗れたが、0対1の接戦を演じた。さらに、3月4日に行われた滝川二(※選抜には出場せず)との練習試合で、近畿の高校球界で“ナンバーワン右腕”と呼ばれる坂井陽翔を攻略することに成功している。これは、報徳ナインにとって、大きな自信となっているはずだ。初戦の相手は、健大高崎。前述した仙台育英と同じ強豪ひしめくゾーンに入っているが、勝ち進む可能性は十分にあるだろう。

 一方、智弁和歌山は、昨年のメンバーの多くが入れ替わり、報徳学園と履正社に比べると少し安定感に欠けるが、能力のある選手がいる。外野手の青山達史、ファーストの中塚遥翔ら強打者を中心とした打線は、破壊力を持っている。今大会では、大阪桐蔭、広陵、仙台育英の“3強”がいないゾーンに入っており、課題の投手陣が仕上がれば、頂点も狙えそうだ。

 履正社(大阪)は、ドラフト候補のキャッチャー・坂根葉矢斗、センター・西稜太を中心とした打線は、チーム打率4割を超えており、タイプの違う投手を揃えている。

ダークホースとなりそうな高校は

“春は投手力”と言われ、野手がまだ仕上がっていない選抜は、好投手を擁するチームが勝ち進むケースが目立つ。昨年、補欠出場の近江(滋賀)がエース・山田陽翔(現・西武)の好投によって、決勝進出を果たしたことは記録に新しい。

 今大会で、この法則に当てはまる可能性があるチームとなれば、最速151キロ右腕の平野大地を擁する専大松戸(千葉)、身長190cmの“大型右腕”日当直喜が大黒柱として活躍する東海大菅生(東京)などが挙げられる。平野は肋骨、日当は肩を痛めて、ともに昨秋の地区大会、県大会では苦しんだ。しかしながら、本調子であれば、打ち崩すことは容易ではない。両校は、投手陣を上手にやりくりして戦えば、ダークホース的な存在となりそうだ。

※記事中の選抜出場選手はいずれも「新3年生」

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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