日向坂46卒業の「宮田愛萌さん」 が初の小説集を発表 「名刺を作ってみたけれど…」グループ卒業後の肩書に悩み
アイドルは読書家にとって好都合
『きらきらし』に収録された5篇の小説には、それぞれテーマとなった「万葉集」の和歌がある。宮田さん自身が訳した現代語訳も記されている。
「打ち合わせの時に、『万葉集をテーマにしたら面白いかもね』って軽い感じで話が出たんですけど、だんだんと『いいな、それ。やりたい!』ってなっちゃいました。最初は、花に関する歌を選んで、春夏秋冬それぞれの季節のお花をテーマにしようと思ったんですけど、細かい縛りを付けて考えるのはなんか違うなってなって……。収録された5つの歌は、とにかく楽しいって思えるやつを選ぼうと思って選ばれた子たちです」
宮田さんは、國學院大學文学部の1年生のとき、19歳で日向坂46に2期生として参加した。
「学業との両立は、スケジュール管理がすごく大変でした。『この授業は何回休んでるから、あと何回休むと単位を落とすのか』とか、カレンダーに書いて整理していました。もともと古典を学びたくて志望した大学だったので、勉強がすごい楽しくなっちゃって、あれもこれもって授業取りまくりました。最後の1年間はリモート授業だったので、仕事の合間にどこでも授業受けられたのがラッキーでした」
文学を学ぶ大学生の読者には、『きらきらし』の参考文献にも注目して欲しいという。
「ミーグリ(※ファンとオンラインで交流するイベント)で、ファンの方から『進路悩んでます』とかって相談を受けることがよくあって、みんな私のこと先輩みたいに思っているのかな。先輩としてのアドバイスがあるとしたら、もし大学1年とか2年で、演習の授業のレジュメの作り方分からんって人がいたら、『きらきらし』の参考文献を見てみて欲しいですね。私がリアルに大学の頃に使ってた本が並んでます」
小説の中には、大学生のリアルな描写が光る。
一方で、アイドルの経験については、「この部分に生きているって具体的なのはあまりないですけど、登場人物たちを見る視点は、活動する中で色んな人を見てきた経験が生きていると思います」という。
実は、アイドルの仕事は読書にとって好都合な環境が整っていた。
「アイドルって待ち時間とか移動時間もすごく多いんで、結構合間に本を読めるんです。私はわざわざ読書の時間を作ったりっていうのはあまりせずに、家の中で本が目に付いた時にパラパラと読んでます。睡眠時間とか食事の時間を削って読書することもありますけど」
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