「警察に対する抗議の自死ではないのか……」 レジオネラ菌騒動「大丸別荘」前社長の意外すぎる評判

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 果たして前社長は無能な経営者だったのか──? 毎日新聞(電子版)は3月12日、「湯替え年2回の大丸別荘 前社長、遺体で見つかる 福岡の山道」の記事を配信、YAHOO!ニュースのトピックス欄に転載された。

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 福岡県筑紫野市にある老舗旅館「大丸別荘」の公衆浴場法違反を巡る事件で、運営会社の山田真・前社長(70)が自殺した。

 そもそもの発端は、大丸別荘の湯から基準値を大幅に超えるレジオネラ属菌が検出されたことだった。担当記者が言う。

「浴場は本来なら、最低でも週に1回は温泉の湯を変える必要があります。ところが大丸別荘は年に2回しか変えなかったのです。その結果、レジオネラ属菌が一時基準の3700倍検出されたことが県の調査で発覚し、2月下旬に報道されました」

 当時は社長だったことから、山田氏は2月28日に記者会見を開いた。だが、その場で不用意な発言を連発。これが大きな批判を招いた(註)。

《レジオネラ属菌云々で、特別、訴えというか、お客さまからの声がなかったので、かなり安易に考えていた》

《仮に亡くなることになっても、今のコロナではないが、元々、基礎疾患があるとか、たまたま、きっかけと言ったらいかんでしょうが、そんな捉え方をしていた》(註)

「山田氏は3月2日付けで社長を引責辞任しました。福岡県は8日に刑事告発を行い、県警が公衆浴場法違反容疑などで旅館などを家宅捜索しました。山田氏に対する任意の事情聴取も行われていましたが、12日に筑紫野市の山道で遺体が発見されたのです。近くには車が駐まっており、車内から遺書が発見されました」(同・記者)

億単位の負債を返済

 マスコミが自殺を大きく取り上げたことで、SNSには過熱報道や、“ネットリンチ”を批判する声が目立った。

「その一方で、『山田氏は社長の器ではなかった』といった厳しい投稿が止まることはありませんでした。過熱報道やネットリンチの問題と、山田氏の犯した“罪”の問題は別ということでしょう。大浴場の管理が杜撰だったことや、あまりにひどかった記者会見に対する世論の怒りは、それだけ根強いのだと考えられます」(同・記者)

 今でもSNS上では事件を巡って様々な意見が投稿されているが、「山田前社長は経営者として無能だった」という見方は極めて多い。

 だが、「無能という指摘は勝手に作られたイメージです。事実とは異なります」と知人が反論する。確かに新聞社のデータベースを調べると、山田氏は優れた経営者だったと報じた記事も見つかった。

「大丸別荘は筑紫野市にある『二日市温泉』に位置しています。開湯は奈良時代とされ、江戸時代は福岡藩主が入湯した“殿様の湯”としても有名です。大丸別荘も創業が1865(慶応元)年という老舗で、1泊数万円のプランが基本という高級路線、ネット上での口コミでは高い評価を受けていました。ところが非常に経営が苦しかった時期があり、その苦境を山田氏の経営手腕で脱したのです」(同・記者)

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