侍ジャパンWBC躍進の裏にダルビッシュの変貌? 恩師たちのために「球場近くのホテル」を用意して招待
「プロアスリートの手本」
開幕前から「史上最強」ともてはやされた今回の侍ジャパン。その下馬評通り、1次ラウンドのリーグ「プールB」を全試合6点以上の差をつけて4連勝。準々決勝ラウンドへとコマを進めたのである。快挙の背景にはある選手の精神的な成長があるという。
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今大会で印象が大きく変わったといわれるのが、ダルビッシュ有投手である。
「韓国戦で先発しましたが、3失点。調子は悪かった。しかし、チームの中からは変わらず頼りにされていますね」(スポーツ紙のWBC担当記者)
彼はメジャーリーガーとして唯一、宮崎での代表合宿から参加。若手の選手にピッチング指導をしたり、食事会を主催したりするなど、チームリーダーとしての役割を果たしてきた。
「その変貌ぶりには驚きました」
とは、ノンフィクションライターの柳川悠二氏。同氏は宮崎キャンプを取材したが、
「以前のダルビッシュは、近寄り難く、興味のない質問をする記者とは目も合わせようとしなかった。常にピリピリした雰囲気がありました。しかし、今回は何を聞いても答えてくれそうでしたし、逆に取材陣を笑わせていたほど。若手選手も彼の元に集まり、本人も笑顔を振りまいていた。“妻が変えてくれた”と話していましたが、プロアスリートの手本のような言動でした」
「わざわざ球場近くのホテルも取ってくれて」
先の韓国戦では、実母に加え、中学時代の恩師と、高校時代の指導者の夫人を球場に招いたという。
「わざわざ球場近くのホテルも取ってくれてね。昔から思いやりのある子でしたが、うれしかったですよ」
と、羽曳野ボーイズの山田朝生会長は目を細めるし、
「有くんのお母さんから、来てくださいってメールがあったんです」
とは、東北高校野球部元監督の故・若生正廣氏夫人、正子さんである。
「うちの夫は2年前に亡くなりましたが、闘病中は“快方に向かったら、渡米して世界の舞台で活躍する有くんを見てみたい”と申しておりました。それができずに逝ってしまいましたが、その事情を察して招待してくれたのでしょう。観戦の翌日、お墓に寄って主人に報告しましたよ」
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