全土で抗議デモ、富裕層はシンガポールへ移住…嫌われる中国共産党の統治スタイルに逆行する動きが
中国の全国人民代表大会(全人代)が3月5日から13日にかけて開催された。
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全人代は中国の国会に相当する機関にあたり、年に1度、3月に北京の人民大会堂で開催される。代表は約3000人で、任期は5年。今後1年間の政治・経済を始めとする各分野の政策運営方針を審議し、国防費を含む予算案を承認する。
会議の冒頭、自身として最後の政治活動報告を読み上げた李克強首相は、今年の経済成長目標を昨年の「5.5%前後」を下回る「5%前後」に設定した。
目標の数字が数十年ぶりの低さだったことで、市場関係者の期待(ゼロコロナ政策の解除による中国経済のV字回復)は冷や水を浴びせられた形だ。
課税強化への警戒感
李氏が演説の中で「安定」との言葉を33回述べたことにも注目が集まっている(3月6日付日本経済新聞)。習近平指導部の発足後で最も多かったからだ。
中国経済の回復を妨げる様々な構造的な課題があることが関係している。
(1)不動産市場の不調(2)コロナ禍で冷え込んだ消費(3)地方政府の財政難など一筋縄ではいかない問題が山積みだが、李氏の口からは構造改革についての具体的な言及がなかった。
全人代では今後の経済政策を司る高官が相次いで習近平国家主席に忠誠を誓った。
李克強氏のような専門家に代わって李強氏のような習氏に忠実な人物、いわゆる「イエスマン」が経済政策の舵取りを担うようになれば、痛みを伴う経済改革を断行する可能性はゼロになったと言っても過言ではない。
むしろ「経済分野への介入がさらに強まるのではないか」との懸念も生じている。
習近平国家主席は6日「民間企業は国有企業とともに『共同富裕』の実現を目指して責任を負い、豊かで愛情深くあるべきだ」と述べた。民間企業の間では「共同富裕の名の下に事実上の課税強化が進められるのではないか」との警戒感が生まれている。
中央金融工作委員会(共産党指導部直下に設置)を20年ぶりに復活させ、金融セクターの監視を強化することも既定路線となっている(3月2日付ブルームバーグ)。
心配なのは経済政策だけではない。
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