アレフの“資産隠し”に公安庁がブチ切れ、6カ月の活動停止処分 「3年で12億円→2000万円はおかしい」

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3年で報告資産が1・5%まで激減

 今回、アレフに下された再発防止策の根拠となる団体規制法の正式名称は、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」。オウム真理教による地下鉄サリン事件など一連の凶悪事件を受け、無差別テロ事件を起こしても、なお存在し続けるオウム真理教を法規制するため、破壊活動防止法に代わり制定された法律である。

 アレフは同法に基づき、2000年1月に観察処分の対象となり、2021年1月に7回目の更新を受けた。これにより、アレフは3カ月ごとに資産状況などを公安庁に報告するよう義務づけられていたが、収益事業で得た資産などの報告が不十分な状態が続いてきた。

「公安庁からの再三の指導にも応じず、最近は定期的に行われる施設への立ち入り検査でも、『コロナがうつるから入るな』などと反抗的な態度を繰り返してきた。しびれを切らした公安庁が1月30日、公安審に再発防止処分を請求したのです」(公安庁関係者)

 アレフの資産報告の怪しさは、数字の動きを見れば一目瞭然だ。昨年10月時点で公安庁に報告している資産額は約2000万円。2019年10月時の約12億8000万円からたった3年で1・5%まで激減している。アレフ側は、公安庁が収益事業だと指摘している事業について、「アレフとは無関係の事業なので報告義務はない」の一点張りで報告していないのだが、公安側は「資産隠し」とみている。

異例の事前提訴

「アレフの信者数は今年1月時点で約1280人、関連施設は全国約20か所と一定の勢力を保っています。信者向けのセミナーやパンフレットや書籍の販売で収益を上げているはずなのに、資産がたった3年であそこまで急減するのは不自然極まりない。2020年11月、一連のオウム真理教事件の被害者らへの賠償手続きを担う『オウム真理教犯罪被害者支援機構』に対する10億円超の賠償命令が確定していますが、支払いは滞ったまま。この確定判決により資産が差し押さえられることを恐れているようです」(同)

 冒頭のように意見聴取を欠席したアレフだが、処分決定が出る前の2月20日には、国を相手に再発防止処分を出さないよう求める訴訟を東京地裁に起こしていた。

「国の行政処分が出た後に訴えるのなら分かるが、処分前の段階から訴えるのは異常で聞いたこともない。ムチャクチャな提訴です」(前出・公安庁関係者)

 実際、アレフの主張は通らず、公安審は提訴から約3週間後に再発防止処分を出した。今後、差し止め訴訟は処分取り消し訴訟に移行するとみられる。アレフの役職員及び構成員らが、今回の処分に従わなければ、懲役2年または罰金100万円に処される可能性もある。初の再発防止処分に対するアレフ側の対応が注目されるが、「3つの後継団体のなかで最も内向的で隠蔽体質がある」(同)とされる団体なだけに、より一層の警戒が必要だ。

デイリー新潮編集部

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