「教団の資産をカルト被害者に寄付したい」 大川隆法の長男が語る相続問題
「心不全で倒れて…」
一方で幸福の科学信者にとって信仰の対象は大川隆法総裁ただひとり。もし後妻が後継者になるなら、教義の上で理由付けや権威付けを行う必要があると指摘する。
「正統性を巡って、教団幹部らが長女など遺子を担ぎ上げ、跡目争いに参加してくる可能性も考えられます」(同)
かような混乱を生み出す種は、すでに以前からまかれていた。
「総裁は教団のすべてを一人で決めて実行してしまうため、弟子が育たないという問題がありました」
そう振り返るのは、前妻のきょう子氏だ。
「04年に一度、心不全で倒れて死を身近に経験して以来、彼は人生が短いものだと悟り、生きている間に自分がやりたいことを全部するという姿勢に変わっていきました。正直に申し上げて、総裁も最期は混乱の中にいたんじゃないでしょうか。教団のしかるべき立場に置いた自分の子供たちを皆、粛清してしまい、自分が育てたものを自ら潰してしまったわけです。私から親権を取り上げてしまった手前、自責の念があったのではないでしょうか」
「生涯、死んでも彼を愛し続ける」
一方で彼女は突然、号泣しながらこう話す。
「今となっては彼に対しておわびをしたいという思いを強く持っています。私はカトリックに改宗しイエズス会で学ぶ中で、自分の未熟さを知りました。当時は彼のことをおかしいと批判もしましたが、私にも原因がありました。結果として子供たちとも衝突してしまい、会いたくても会えない状態が続いています。いろいろと問題を起こした教団ですし、長男をはじめ子供たちによる批判もあるけれど、私は生涯、死んでも彼を愛し続けたいと思います……」
一度は袂(たもと)を分かった前夫とはいえ、訃報に接しその複雑な胸中を吐露するのだ。
改めて、教団に対して大川総裁の生死について確認したところ、
「脳梗塞の事実はありません。また火葬が済んでいるという事実もありません。その他については、お答え致しません」(幸福の科学グループ広報局)
遺された人々は「幸福ゆき」の切符を手にすることができるのだろうか。
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