「侍ジャパン」WBC出場選手を独自採点! 最高評価は8奪三振の「右腕」…では、期待を裏切った選手は?

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圧巻の活躍を見せた大谷

<野手>
大谷翔平(エンゼルス):8点、ヌートバー(カージナルス):7.5点、近藤健介(ソフトバンク):7.5点、吉田正尚(レッドソックス):7.5点、中村悠平(ヤクルト):6.5点、牧秀悟(DeNA):6.5点、甲斐拓也(ソフトバンク):6点、山田哲人(ヤクルト):6点、源田壮亮(西武):6点、中野拓夢(阪神):6点、岡本和真(巨人):5.5点、山川穂高(西武):5点、村上宗隆(ヤクルト):4.5点、大城卓三:評価なし、牧原大成:評価なし、周東佑京:評価なし

 野手で最高点はやはり大谷になるだろう。相手チームからの厳しい警戒をものともせずに、ここまで打率5割、ホームラン1本を含む長打4本、チームトップタイの8打点と圧倒的な成績を残している。ここからは、さらに相手バッテリーの攻め方が厳しくなることが予想されるが、3番に大谷が座っていることの影響力は計り知れない。

 大谷に次ぐ活躍を見せているのが、冒頭でも触れたヌートバー、近藤、吉田の3人だ。3人とも打率4割、出塁率5割を超えており、中軸として十二分な成績を残している。

 特に驚きの活躍を見せたのがヌートバーで、メジャーでの実績はそれほどでもないことから、招集が決まった時には否定的な意見も少なくなかった。だが、その明るいキャラクターと全力プレーもあって日本の野球ファンを虜にしている。打撃だけでなく、積極的な走塁とセンターの守備でも素晴らしいプレーを見せており、今後も攻守にわたるキーマンとなりそうだ。

7三振に悪送球も…不振が続く村上

 一方、4番の村上が上位打線で唯一不振が続いている。チェコ戦とオーストラリア戦でヒットは放ったものの、ここまで打率.143、長打なし、7三振と結果を残すことができていない。

 ストライクのボールを簡単に見送るシーンが目立つ。7三振のうち4個が見逃し三振で、なかなか自分のタイミングでバットを振ることができていない。サードの守備でも失点につながる悪送球を記録しており、ここまではチームの期待に応えることができていない。今後は、前述したように大谷への警戒が強くなることが予想される。ここまで長打のない岡本、山川とともに、何とか調子を上げてもらいたいところだ。

 それ以外の野手で存在感を示したのが、中村と牧の2人だ。中村はここまでは甲斐との併用となっているが、2試合で3安打、2四球、1犠打と打撃面でも大きく貢献している。

 簡単にアウトにならずに狙いすまして、右方向へ打つしぶとさは際立っており、ヤクルトでは2番を任されたことがあり、バントやエンドランなどの小技も上手い。2年続けて日本シリーズを戦ってきた短期決戦での経験は、心強い限りだ。

 牧はここまで3安打ながら、中国戦では貴重な追加点となるホームランを放つなど、チームトップの2本塁打をマーク。鈴木誠也(カブス)が大会直前に離脱し、岡本と山川が苦しんでいるだけに、貴重な右の強打者として今後もキーマンの1人となりそうだ。

 短期決戦では勢いに乗って驚きの活躍を見せる選手がいる一方で、“逆(日本)シリーズ男”と言われるように本来の力を発揮できない選手が出てくる例も少なくない。勝ち進んだとしても残りは3試合。ここまでのプレーから、栗山英樹監督は世界一奪還に向けてどんな選手起用を見せるのだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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