1番・ヌートバーを見て思うこと【柴田勲のセブンアイズ】

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“肝”は投手陣

 それにしても初戦の中国戦は意外にモタモタした。普段は140、150キロを投げる投手を相手にしているせいか、中国投手陣の120、130キロのボールにてこずった。投手・大谷は少し制球に苦しんでいた。

 逆にWBCで4勝4敗の韓国戦は苦戦するかもと思って見ていたが、終わってみれば大勝だった。ダルビッシュ有はあまり良くなかった。次回は変わってくると思うが。

 16日の準々決勝(東京ドーム)はイタリアが相手だ。負けたら終わりの一発勝負だ。日本投手陣対イタリア打線の激突になるだろう。大谷からダルビッシュの二枚看板投入という予想も出ている。

 まあ日本の投手陣は抜群だ。チェコ戦に先発した佐々木朗希(ロッテ)、オーストラリア戦の山本由伸(オリックス)も安定した投球を見せてくれた。さすがは日本を代表する投手だ。

 先発した四人だけではない。第2先発陣もいいし、湯浅京己(阪神)、宇田川優希(オリックス)、高橋宏斗(中日)らも控えている。

 準々決勝から準決勝、そして決勝に進んでも日本代表の戦いの“肝”は投手陣だ。フォークを操り、通用する投手をうまく起用していくのがカギになるだろう。

 4番の村上宗隆(ヤクルト)が苦しんでいる。見ているとファーストストライクを簡単に見逃している。積極的に振るヌートバーとは対照的だ。

 三冠王でも一度自信をなくすとああなってしまうのか。いまは他の選手たちがカバーしている。16日までまだ時間がある。脱出のきっかけをつかんでもらいたい。

 ヌートバーのハッスルプレーを見るのは実に楽しみだ。あと3試合、野球ファンを大いに沸かせてほしい。(成績は12日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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