NHK「大奥」で取り上げられているシリアスなテーマの数々…血縁主義、不妊問題に対する答えは?

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シリアスな問題を織り込みながらも重さを感じさせない

 ここから有功の地獄のような人生が描かれたら、平凡なドラマになっただろうが、もちろん実際には違った。

 ささくれだった家光の心が、有功の真心によって、やすらいでいく。家光は有功が好きになる。一方の有功も家光の不幸な境遇と純粋な素顔を知り、愛情を抱く。人間の妙だ。以降、ピュアなラブストーリーが進んだ。

 しかし2人の間には子供が出来なかった。有功が不妊症だったからだ。家光は子づくりのため、ほかの男と交わることになる。理性的な有功は理解を示すが、それは表向きの話だった。

 家光がほかの男と接している間、悶々とする有功は一心不乱に経を唱えた。それでも動揺や嫉妬心は抑えられず、室内を荒らした。

 ここでも血統主義、愛と性の違い、不妊問題を考えさせた。現代劇の本格的な恋愛ドラマであろうが、ここまで考えさせることはないだろう。

 一方、赤面問題は暗い影を落とし続けた。春日局「(赤面で)この国は滅ぶ」と予言する。確かに女ばかりになってしまったら、人口は減るばかり。やがて国は滅びる。

 また、女は体が強いが、腕力は男のほうがあるので、外敵から攻められたら、ひとたまりもない。やはり国は滅ぶ。現在とは事情が全く違うが、観る側に人口減問題と男女の性差問題を思い浮かべさせた。

 こんなシリアスな問題を織り込んだら、大抵は作品が重たくなる。けれど、大奥は男女が入れ替わっても華やかだし、江戸城内外での日常描写にはコミカルな場面もある上、ストーリーがテンポ良く軽快に進むから、重さを感じさせなかった。

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