NHK「大奥」で取り上げられているシリアスなテーマの数々…血縁主義、不妊問題に対する答えは?

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底流にあるのは「血縁主義問題」

 吉宗の問いに家重は涙を浮かべながら「私は頼りない意気地なしです。こんな私でも出来ますか」と尋ねる。本当は人の役に立ちたかったのである。吉宗は家重に将軍が務まると確信し、後継ぎに決めた。

 ほかにも骨太の問題が描かれている。「血縁主義問題」「出産問題、不妊問題」「ジェンダー問題、男女の性差」「人口減問題」「医療行政問題」――。恋愛の扱い方も深い。愛と性の違いにも踏み込んでいる。華やかなだけでなく、歯ごたえのある作品だから、評判高いのだ。

 よしながふみ氏(51)の原作漫画が名作の誉れ高く、脚本を書いているのも名手・森下佳子氏(52)なので、男女逆転という歴史の大修正が観る側に受け入れられた。

 男女逆転の発端は赤面の流行で、それによって男だった本来の家光公が死んだことにあった。感染症の蔓延が世を激変させるという話は現代でもあり得る話だから、違和感がなかった。

 やがて徳川家を守りたい家光公の乳母・春日局(斉藤由貴・56)の計略により、家光公の娘が家光に仕立て上げられた。女の家光はいきなり髪を切られ、望まぬ男の身なりをさせられ、自由を奪われた。哀れだった。

 エンディングテーマソング「蒲公英」(幾田りら)の通りだ。♪望んだ訳ではなく 此処に生まれ落ちて 気づけば両手いっぱいが 託された理想で溢れる――。この作品は全編の底流で、血のつながりに拘る血縁主義の是非を問い続けている。

 春日局は万里小路有功(福士蒼汰・29)の人生も奪い取る。これも徳川家のため。家光との間にお世継ぎをつくることが目的だ。

 後に大奥トップの総取締となる有功は公家出身の僧だったものの、春日局によって無理に還俗させられ、家光の側室にさせられた。

 もっとも、当初の有功は側室というより、家光の遊び道具。家光と対等に口を利いただけで、扇子でバシバシ叩かれた。強引に将軍にさせられた家光の鬱憤晴らしの相手に過ぎなかった。

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