「持ち家vs賃貸」論争、ついに決着? 「差額は75万円」というリサーチ結果が
家は買うべきなのか、賃貸がいいのかという議論は延々と続けられてきたが、そこに決着をつけようというのか、日経新聞のNIKKEIプラス1(2月25日)で、ある試算が紹介された。「三井住友トラスト・資産のミライ研究所(以下ミライ研)」が、持ち家と賃貸それぞれにかかる総費用を比較したという。
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それによると、首都圏の家に30代から50年間住んだと想定、持ち家は住宅を購入する際の頭金やローンに固定資産税などを合計した額。対して賃貸は家賃とその更新料などを合わせた金額だ。結果、2021年度時点で、持ち家が総額8310万円。賃貸だと8235万円かかるという。わずか75万円の差ながら、賃貸に軍配が上がったとある。
もっとも記事によると、持ち家は住宅ローン減税などを勘案しておらず、総費用を差し引いた後でも資産として残ると断っている。いっぽう、賃貸は老境に入ってもなお支出がコンスタントに続くことも指摘しており、損得は簡単には決められないとしている。
持ち家は時代の変化に強い資産だが…
そこで、ミライ研に聞いてみると、
「もともと当社は3年前に『安心ミライへの「資産形成」ガイドブックQ&A』という本を出しており、その中で家賃を払い続けるなら、家を買ったほうがいいという一般的な考えが本当かを確かめるために試算してみたのです。当時は持ち家のほうがわずかに安かったのですが、首都圏の住宅価格が上昇し、現在は賃貸のほうが安くなってしまった。その調査結果を日経新聞さんが紹介したというわけです」(担当者)
そもそも、持ち家と賃貸のどちらが得なのかを決めつけているわけではないと強調するのだが、記事を読んだ人は気になろう。
住宅評論家の櫻井幸雄氏によると、
「50年前なら、首都圏でも1500万~2千万円あれば良い物件が買えました。それが景気停滞や長期のデフレを経た今でもざっと3~4倍に値上がりしている。持ち家は時代の変化に強い資産といえます」
一方、インフィニティのチーフエコノミスト・田代秀敏氏が言う。
「日本の住宅政策は持ち家を推進してきましたが、それは人口増を前提にしたもの。少子化が進む昨今、空家や売るに売れない“負動産”も増えています。勘案する要素次第で結果はまた変わるでしょう」
現代の「神学論争」はまだまだ続く。