石川雅規、和田毅…アラフォーでも現役バリバリ 長く活躍できるベテランの“ある共通点”
不惑を前に「250セーブ達成」が視野に
投手で石川、和田より先に大記録達成が近づいているのが、オリックスの守護神、平野佳寿だ。今年で39歳、日米通算18年目となる。
プロ入り4年目にリリーフに転向すると、2011年には最優秀中継ぎ投手、14年には最多セーブのタイトルを獲得し、リーグを代表するリリーフ投手に成長した。
18年から3年間はメジャーでプレーしている。21年に古巣・オリックスに復帰してからも、抑えとして見事な成績を残し、リーグ連覇に貢献した。ここまで積み上げてきた日米通算セーブ数は221。一昨年は29セーブ、昨年は28セーブを挙げたことを考えると、今年中に名球会入りの基準となる「250セーブ達成」が視野に入っている。
一方、野手では、ヤクルトの青木宣親が今年最年長となる。41歳、日米通算20年目の大ベテランだ。早稲田大時代は、同学年の鳥谷敬(元阪神、ロッテ)に比べると地味な存在だったが、プロ入り後は2年目に当時史上2人目となるシーズン200安打を達成。3度の首位打者、2度の最多安打に輝き、活躍した。
12年からはメジャーに移籍し、6年間で7球団を渡り歩いて通算774安打を記録した。18年からヤクルトに復帰した後も、チームを牽引し続けている。日米通算安打数は2648本。順調にヒットを積み重ねれば、今年中に松井稼頭央(元西武など)の2705安打を上回る可能性は高い。イチロー(元オリックスなど)、張本勲(元東映など)に次ぐ史上3人目となる“3000本安打達成”も決して夢物語ではないだろう。
「自分なりの“軸”を持っている選手は強い」
今回、取り上げた4人に共通している点は、決して早くから騒がれていた選手ではないという点だ。石川と和田は、甲子園に出場して勝ち星をあげているが、当時は、スカウト陣から特段、注目されるような選手ではなかった。
筆者は昨年、石川を高校時代に指導した小野平氏(元秋田商監督)に話を聞く機会があったが、当時はプロ入りするとは夢にも思わなかったと語っている。
「入部してきた時の“選手としての印象”は全くありません。かわいい顔して、(体も)小さいから、私は石川のことを『ぼく』って呼んでいたんですよ。当時は、こんな選手になるとは夢にも思わないどころか、チームのエースになるとも考えていませんでした。(ここまで成功したのは)内に秘めた負けん気と本人の努力に尽きますね。私も指導者として、石川にいろんなことを教わりました」(小野平氏)
平野は鳥羽高時代、3度甲子園に出場しているとはいえ、自身は控え投手。リリーフで1試合に登板したのみという記録が残っている。青木に至っては、高校時代は野手ではなく、投手だった。早稲田大への進学もスポーツ推薦ではなく指定校推薦で、野球部入部当時は全く期待された選手ではなかった。
では、彼らはなぜここまで長くプロの第一線で活躍することができているのだろうか。
「やっぱり大きな理由は、体が強いことですね。怪我をしないというのはもちろんですし、怪我をしても、その経験を生かしてプラスにできるような選手というのは、第一条件だと思います。あとは自分を強く持っているということではないでしょうか。監督やコーチからいろんなことを言われても、自分なりの“軸”を持っている選手は強いですよね。大学で大きく伸びるような選手の方が自分で考えて成長してきたという自負も強いと思うので、そういう選手が多いのかもしれません」(パ・リーグ球団スカウト)
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