お笑い界ににわかに注目される岡山県 言われてみれば納得の「千鳥」の大きな功績

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大阪との距離感も影響?

 岡山は関西地方に近いが、関西の文化とは微妙に距離を置いているところがある。気候も温暖で暮らしやすいと言われていて、どこかのんびりした雰囲気もある。笑いの聖地である大阪に対して、地理的に遠くはないが程よい距離を保っているところが、芸人が育つ土壌としてはちょうどいいのかもしれない。

 かが屋の加賀翔による半自伝的小説『おおあんごう』(講談社)では、作中で登場人物が発する岡山弁の台詞の数々が印象に残る。タイトルの「おおあんごう」というのも、彼の父親が実際によく使っていたという岡山弁の言葉である。

 かが屋はコントを専門にしている。普段はそこまで方言を売りにしているわけではないが、ネタの中には加賀が岡山弁を使うものもある。方言を用いることで、独特の温かみや泥臭さがかもし出される効果がある。

 その言葉は乱暴なようで温かみがある。そんなどっちつかずの特徴を持つ岡山で生まれ育った芸人たちは、それぞれが一筋縄ではいかない魅力を持っているのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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