前田吟さんが語る“熟年再婚”秘話 歌手・箱崎幸子さんとの初デート、架空の話で考えた口説き文句
初めてのデートは「山手線一周」
二人の初デートは昨年3月。渋谷のハチ公前で待ち合わせ、山手線を一周しながら話をするというものだった。
そこで前田さんは、「レコード会社からデュエットの話が来ている」という“ありもしない話”で口説いた。
「彼女を月に何度か呼び出すために考えたんです。デュエット曲を出すとなったら、一緒にレッスンしたり、音合わせする必要があるでしょう。実際には、そんな話はないんだけどさ(笑)。とにかく少しの時間だけでも彼女と一緒に過ごしたかった」
さらに、具体的にどこで一緒に住もうかという話も。すべては猛スピードで進行し、初デートから3ヵ月後に入籍を果たした。幸子さんが語る。
「彼からのアプローチは、私にすれば夢と希望でしたね。最初は戸惑いましたけど、話をするうちに真面目な人間性が見えてきて、いい人なんだなと感じるように。正直なところ、私は夜にお店をやっているので、彼の出演するドラマはほとんど観ていませんでした。だからこそ、最初からひとりの男性として見ていましたし、純粋に惹かれていった感じです」
入籍にこだわったのは、芸能人としておかしな噂を立てられたくなかったため。そして、お互いの子供たちのために、きちんとケジメをつけて付き合いたかったからだ。
口説き文句の「デュエット曲」が現実に
前田さんが続ける。
「僕が惹かれたのは、夫を病気で亡くし、東日本大震災を経験しながらも、子どもたちを育てあげた彼女の強さです。僕は役柄でもわりと強い女の人との夫婦役が多くて、『男はつらいよ』で倍賞千恵子さん演じる“さくら”は、優しそうな印象だけど芯の強い女性。『渡る世間は鬼ばかり』で共演した長山藍子さんや泉ピン子さんもそうですよね。しかも、ドラマだけでなく、現実でも強い女性に惹かれてしまう。色々な経験を積んだ、歴史のある女性ですね。さらっと綺麗な人生を送った人には燃えないんですよ」と前田さんは笑う。
幸子さんは前田さんの誠実さに惹かれた。
「純粋にひとりの男性として素敵だと思いました。とにかく嘘がない、有言実行型の人。デート中に体調を崩した私を介抱しれくれたことがあって、その優しさにも打たれました。そういうことを子どもにも話して、“お母さんね、ちょっと飛び込んでみようと思ってる”と伝えたんです」
入籍後、軽井沢の別荘で一夏を過ごし、昨秋から前田さんの家で暮らし始めた。家事を苦にしない前田さんは、幸子さんと一緒に料理もつくる。幸子さんに主治医を紹介したり、沖縄に旅行に出かけたりして、新しい人生を楽しんでいる。
「長く付き合っていないぶん、新婚生活はとても新鮮ですよ。限りある人生だけれど、二人ならば勇気を持っていろいろなことに挑戦できる」と前田さん。
今計画しているのは、芸能生活60周年を記念して、前田さんの出身地である山口県防府市を訪れ、老人ホームの慰問でデュエットすること。嘘から出たまことで、3月22日には二人のデュエット曲「凪の風景」が発売になる。夫婦の二重唱は始まったばかりだ。