棋王戦第3局は終盤まさかの展開に 藤井聡太五冠が思わず漏らした「ああ、いやだ」

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背水の陣で挑んだ渡辺明棋王

 3月5日に新潟市で行われた棋王戦の第3局。その最終盤に思わぬ「ドラマ」が待っていた。両者ともいつ詰んでもおかしくない、“シーソーゲーム”のような展開に、対局した二人はもとより、観戦記者たちも緊迫の面持ちに……。

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 すでに第1局、第2局と連敗し後が無くなった渡辺明棋王(38)。

 背水の陣で臨んだ第3局では会心の指し回しで徐々にリードを広げ、先手番では目下28連勝中の藤井聡太五冠(20)を追い詰めていく。

 アベマの将棋中継ではAIを用いて形勢状況をリアルタイムで%表示しているが、中盤以降は渡辺棋王が終始優勢。

 ついに最終盤に入った夕刻には、勝利の可能性は、「渡辺99%─藤井1%」と表示されていた。

痛恨のミスで形勢がどんでん返しに

「さすがの藤井五冠ももはやこれまで」

 中継を見ていた誰もがそう思ったことだろう。ところが?

 現地にいた観戦記者が振り返る。

「ここからの藤井さんの粘り腰がすごかった。いつ詰んでもおかしくない状況を辛抱強く耐え忍ぶ。すると、この日完璧だった渡辺さんに珍しくミスが出た。その瞬間、それまで『渡辺99%─藤井1%』だった形勢が一気に『渡辺1%─藤井99%』に切り替わったんです。ジェットコースターのような展開に集まった記者たちからどよめきが起きました」

 藤井五冠は詰将棋の名手で、最終盤の優位な状況からの指し損じはほとんどない。やはり勝つのは藤井、そして六冠達成か……。

 だが、今度は間違えないはずの藤井五冠が、即詰みのチャンスを見逃す痛恨のミス。その瞬間、形勢状況は再び「渡辺99%─藤井1%」に逆戻り。

 この数字は藤井五冠の投了まで二度と覆ることはなかった。

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