【放送法問題】先進国で政府がテレビを監視しているのは日本だけ…本来論じられるべき3つの問題

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放送法の議論は論点が違う

 放送法に定められた政治的公平性をめぐる、安倍政権下の官邸と総務省のやりとりの文書に関し、与野党の攻防が続いている。放送法の政治的公平に関する問題は20年以上にわたって繰り返し浮上するが、何一つ解決していない。報道機関であるテレビ局が政府である総務省に監督される仕組み自体、そもそもおかしな話なのだ。こんな先進国はほかにない。

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 放送法に関して本当に論じられるべき問題は次の3つだ。

 第1にテレビ局が、政府である総務省に監督される仕組みを続けていていいのか。報道機関であるテレビ局は本来、政府を監視する立場なのだ。

 政府がテレビ局を監督している先進国は日本以外にない。海外先進国には政権党をはじめとする政治から独立した放送規制機関がある。米国はFCC(連邦通信委員会)、英国はOfcom(放送通信庁)、フランスはCSA(視聴覚高等評議会)、ドイツはBNetzA(連邦ネットワーク庁)である。

 これらの組織はテレビ局と番組を厳格にチェックする一方で、政治がテレビ局に介入することを許さない。だから海外先進国のテレビ各局の独立性は守られ、厳しい政権批判も行えている。

 象徴的なのは英国の公共放送であるBBCの報道。例えば1982年、時のサッチャー政権がアルゼンチンを相手にフォークランド紛争に臨もうとしていた矢先、「紛争は回避できるか」と非戦の可能性を探る番組を放送した。戦意の昂揚に努めていたサッチャー氏は激怒した。

 さらにサッチャー氏はBBCに「英軍」を「わが軍」と呼ばせたがったが、BBCは最後まで「英軍」で通した。過激な愛国主義が台頭するのを恐れたからだ。日本のNHKと民放だったら、どうするだろう。

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