香港・モデルバラバラ殺人に新展開…7人目の逮捕者、29歳「有名インスタグラマー」の素性と役割
香港のモデルで富豪の令嬢、アビー・チョイ(蔡天鳳)さんが切断遺体で発見された事件。元夫とその家族が逮捕されたことで、香港内外のメディアは「パラサイト一家」による犯行と大きく報じた。しかし、どうやら話はそこで終わらないようだ。現在までの逮捕者は7人に達し、そのうち2人は元芸能界の裏方とフォロワー3万人のインスタグラマーだったという。また地元・香港では、事件発生から2週間が経過してもさまざまなゴシップが流れている。
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この事件を報じる海外メディアの多くは、アビーさんの肩書きを「モデル」としている。ただし現地メディアは、名家の令嬢などを含む有名な「セレブ女性」を指す「名媛」を使う場合が多い。そうしたセレブを“準芸能人”的に扱う土地柄だけに、古くからメディアによく登場する肩書きだ。
アビーさんにはモデルとしての活動歴もあるが、一般大衆にとっては「名媛」のほうが分かりやすく、なおかつ目を引く。そんな「名媛」が電動ノコギリで解体され、鍋から頭部と肋骨が発見されるという凄惨な犯行内容や、最初の逮捕者3人がアビーさんの元夫(アレックス・クォン)の父母と兄という“元身内”だった事実は、香港のみならず世界を震え上がらせた。
アレックス容疑者の逮捕は、事件と3人の逮捕が報じられた翌日の2月25日。現場で複数の捜査員に取り押さえられるという劇的な写真もメディアに出回った。またこの時、多額の現金や貴金属など、逃亡資金を所持していたことも分かっている。
26日にはアレックス容疑者ら4人が裁判所に姿を現した。香港は逮捕から起訴までの勾留期間が短く設定されているため、刑事事件の多くは逮捕当日あるいは翌日に(仮)起訴、そしてさほど間を置かずに出廷となる。裁判所では罪状認否が行われず、代わりに審理の「延期」が申請され、本格的な捜査期間に入るという流れだ。この事件は5月8日に「延期」されたため、事件の全容が公的な形で明らかになる日はまだ先になる。
また同日には、アレックス容疑者の父親の愛人とされる47歳女性が5人目の逮捕者となった。事件前に家賃4万香港ドル超の億ション部屋を借り、アレックス容疑者をかくまったとされている。
超高級マンションをめぐる確執 “訳アリ”一家の犯行動機は?
一方で香港メディアはアレックス容疑者一家の経歴や経済状況を掘り起こし、アビーさんが離婚後も一家を援助していたことなどを一斉に書き立てた。犯行動機とみられているのは、一家が暮らしていた超高級マンションだ。
部屋の名義人はアレックス容疑者の父親だが、実際に購入資金を出したのはアビーさんである。事件前、アビーさんは部屋の売却と一家の転居を提案しており、転居に反対する一家との間に確執が生じていたという。
父親が名義人である理由は、香港ならではの”事情“ではないかという見方もある。香港では複数の不動産を所有すると税金が高額になるため、他人の名義で購入するという”抜け道“が近年問題視されているのだ。
さらに、一家がそれぞれ“訳アリ”だとする報道も相次いだ。父親は強姦事件の関与を疑われて退職した元警察官、アレックス容疑者は長く定職に就かず、過去に詐欺などでの逮捕歴がある。母親と兄も経済的な問題を抱えており、転居に関する確執以外の動機もあったのではないかとみられている。
そうした要素から、2月末の時点ですでに「パラサイト一家による凶行」はほぼ明白といえる状況だった。しかし、3月に入って「外部協力者」の逮捕が相次ぐという新展開をみせている。
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