都内のタワマンに家賃を払わず住み続け、福島県から訴えられている原発避難民 事態は昨年より悪化していた
15世帯と係争中
「3LDKです」
控訴するとなると、解決までさらに時間がかかることになる。
「早い解決を望みます。生活を再建するためには、別の住まいを確保しなければなりません。その家賃を支払いながら東雲住宅の損害金を支払うのは大変だと思います。そのためにも、損害金がこれ以上増えないよう、少しでも早く転出されたほうが良いと思います。長引いてもいいこともないと思うのですが」
ともあれ、係争中の案件はこれだけになったわけだ。
「いえ、実は東雲住宅の提訴以後、訴訟は増えています。東雲住宅を含む国家公務員宿舎に未払いで居住された方への訴訟は計19世帯になりました。うち2世帯と和解し、2世帯に判決がおりました。係争中なのは、今回の控訴分を含め15世帯になります」
昨年3月11日には、別の国家公務員住宅などに住み続けている自主避難民11世帯が、県を訴えた。住宅からの退去と損害金を請求されて精神的苦痛を受けたと計1100万円の損害賠償を求めたのだ。さすがに話し合いできる状態ではなくなったと、6月には県がこの11世帯を提訴した件も係争中の15世帯に含まれる。
「私たちもその方々が憎くて法的対応を取っているわけではありません。あくまで国家公務員宿舎を明け渡していただくことが目的なのです。国家公務員宿舎は国民の負担で建てられた住宅で、そこに居住できるのは国家公務員です。未払い分の家賃は県が肩代わりしており、それは福島県民の血税から支払われているのです。それをご理解していただけるとありがたいのですが」