ロシア軍、戦車大量損失の陰にウクライナ軍の電動自転車「アトム」、日産「ナバラ」の活躍…世界が驚いた技術力とは

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3Dプリンターも活用

 ちなみにアメリカ軍も“兵器の電気化”を進めているという。戦車や装甲車の場合はハイブリット化が検討されている。燃費が向上するので、兵站の負担が減る。さらに隠密行動が必要な作戦ではモーターだけで移動し、高い静音性を確保できる。

「21世紀の軍隊はIT化と電動化をさらに進めていくはずで、ウクライナ軍は期せずして先取りした格好です。ちなみに、商魂たくましいというか、イリーク社はウクライナ軍の特注モデルを『Atom Military』という商品名で発売しています。日本では道路交通法の関係から簡単には乗れないでしょうが、自転車のファンサイトでは『日本円で約67万円』と紹介されています(註3)」(同・軍事ジャーナリスト)

 民生用ドローンの場合、活躍は緒戦から大きく報道されてきた。ウクライナ軍は偵察に使ったり、爆弾を搭載してロシア軍の塹壕に投下させたりしている。

「ドローンの活躍を支えているのが3Dプリンターです。例えば、ドローンの脚部やアームが壊れたとします。ウクライナ軍の兵士はSNSを使って『壊れたから何とかしてくれ』と全世界に訴えます。すると有志から修理部品のデータが送られてくるのです。3Dプリンターで部品を作れば、最前線で戦いながら修理することができます」(同・軍事ジャーナリスト)

 兵士がケガをして大量に出血した際は、3Dプリンターで作った止血帯で処置をすることもあるという。

旧態依然のロシア軍

 ウクライナは戦費の調達でもネットを活用している。過去にはウクライナを支援するクラウドファンディングが大きく報じられた。

「映画『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカー役で知られるマーク・ハミル氏が、クラウドファンディングの“アンバサダー”に採用され話題を集めました。今、注目を集めているのは『サイン・マイ・ロケット』というサイトです。数十ドルの寄付でウクライナ軍の砲弾にメッセージを書き込む権利が得られます」(同・軍事ジャーナリスト)

 サイト上でカード決済すると、「テキサスからこんにちは」とか「プーチン大統領、誕生日おめでとう」といったメッセージを砲弾に書いてもらうことができる。そして最前線で戦うウクライナ砲兵が、実際にロシア軍に向けて発射するのだ。

 一方のロシア軍は、相変わらず旧態依然とした戦術で戦い続け、夥しい死傷者を出している。読売新聞オンラインは3月4日、「ロシア動員兵部隊、ドネツク州の激戦地で『ほぼ全滅』…兵士ら『我々は消耗品』訴え」との記事を配信した。

《ロシアの独立系調査報道専門メディア「インサイダー」は3日、ロシアの部分的動員でウクライナ東部ドネツク州の激戦地アウディーイウカに送られた部隊が「ほぼ全滅した」と報じた》

《部隊は東シベリアで動員され、数百人規模とみられる。動員兵らは2月からSNSを通じ、プーチン露大統領に対して「1日で部隊が組織され、軍の支援もなく戦闘に送り込まれた」「我々は消耗品と呼ばれている」などと繰り返し訴えていた》

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