ロシア軍、戦車大量損失の陰にウクライナ軍の電動自転車「アトム」、日産「ナバラ」の活躍…世界が驚いた技術力とは
共同通信(電子版)は3月2日、「ロシア軍、東部で130両喪失か ウクライナ、要衝増派へ」との記事を配信した。文中には《ロシア軍が激戦地の東部ドネツク州ウグレダルでの3週間の戦闘で少なくとも戦車や装甲車130両を失った》とあるが、もはや驚くような話ではない。
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ロシア軍がウクライナに侵攻してから1年を迎えることから、ロイター(日本語電子版)は2月16日、「ロシア軍、侵攻開始1年で戦車の半数失う 空軍ほぼ無傷=英研究所」との記事を配信した。
記事では、イギリスの国際戦略研究所(IISS)でリサーチ・フェローを務めるヘンリー・ボイド氏の戦況分析が紹介されている。
ボイド氏は《ロシア軍の最新の戦車の損失率は最大50%に達している》と指摘、この1年間で2000~3000両の戦車を失ったそうだ。担当記者が言う。
「昨年の2月24日、ロシア軍はウクライナに侵攻しました。その時、誰もがロシアの勝利を予想しました。何しろロシアは大国で、ウクライナは小国です。アメリカとイギリスは首都キーフに特殊チームを派遣し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(45)に亡命を助言、空挺部隊による脱出作戦を立案していたことも分かっています」
改めて両国の差を、人口と名目GDP、そして軍事力で見てみよう。
まず人口は、ウクライナが約4379万人、ロシアが1億4344万人。IMF(世界通貨基金)が発表した2021年の名目GDPは、ウクライナが約1997億ドル(世界第54位)だったのに対し、ロシアは約1兆7785億ドル(世界第11位)だった。
ウクライナの奇跡
年間の国防費は、ウクライナが約47億ドル、ロシアが約458億ドル。現役兵は、ウクライナ軍が19万6000人、ロシア軍が90万人。装甲戦闘車両は、ウクライナ軍が3309台、ロシア軍が1万5857台──という具合だ(註1)。
まさに圧倒的な差としか言いようがない。アメリカやイギリスだけでなく世界中の外交や軍事の専門家が「ウクライナはロシアに蹂躙される」と予想したのも無理はないだろう。
ところが、ウクライナ軍は粘り強く反撃を続けた。そして侵略から1年が経った今、ロシア軍に甚大な被害を与えていることが明らかになったわけだ。
なぜウクライナ軍は奇跡を起こすことができたのか、どうしてロシア軍は弱いのか、軍事ジャーナリストが解説する。
「ウクライナの善戦に、アメリカを筆頭としたNATO(北大西洋条約機構)軍の支援が大きく寄与しているのは言うまでもありません。その上で、ウクライナ軍が民生品を巧みに活用して兵器化し、ロシア軍を撃退していることも重要でしょう。まさに“必要は発明の母”というわけです」
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