PGAツアーが「予選落ちナシ」の改革案 モナハン会長に激怒するプレーヤーが続出するワケ

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選手ミーティングは紛糾

 3月2日から始まったA・パーマー招待の開幕前に開かれた理事会は大揉めになり、「7時間以上も続いた」という証言が得られた。

 9日から始まったプレーヤーズ選手権の開幕前には選手ミーティングが開かれたが、こちらも紛糾し、「想像していた以上にヒートアップした」とマキロイも驚いていた。

「格上げ大会」に当たり前のように出場できるマキロイなどのトッププレーヤーたちは、諸手を挙げて来年からのさらなる改革を絶賛している。

 それもそのはず。予選カットがなくなれば、出場するだけで高額賞金が約束されるのだから、反対する理由は見つからない。

 しかし、現行の「格上げ大会」への出場資格を得ることさえできていない選手たちにしてみれば、来年から出場人数が半減されたら「格上げ大会」への道はさらに遠くなる。そして、高額賞金が転がり込む可能性は格段に低くなるわけだから、「マキロイらは自分たちがビッグマネーを手に入れることしか考えていない。僕らに対する待遇がどうなるかなんて何も考えていない」と怒声を上げている。

モハナン会長の矛盾した説明

 だが、トップ中のトップではない選手たち、あるいはツアー関係者やゴルフファンから上がっている最大の批判は、モナハン会長やマキロイの主張が「辻褄が合っていない」という点に集中している。

 モナハン会長はリブゴルフに予選カットがないことを激しく批判していたはずなのに、「ここへ来てノーカット大会を推奨するのは矛盾している」という声がSNSに溢れ返っている。

 そうした批判を受け、モナハン会長はこう反論している。

「マスターズや全米オープンといったメジャー大会への出場資格を得るために必死に腕を磨く。それと同じように、たとえ『格上げ大会』の一つ一つに予選カットがないとしても、出場資格を手に入れるために選手たちは凌ぎを削って競い合う。シーズンエンドのプレーオフ・シリーズで勝ち残っていくための戦いも熾烈だ。そうやって『格上げ大会』への出場を目指して選手たちが懸命に進んでいくことそのものが、私に言わせれば予選カットと同じことだ」

「格上げ大会」への出場資格を得てフィールドに入ること、その大会にクォリファイ(予選通過)すること自体が「予選カットと同じ」というモナハン会長の主張には、さすがに首を傾げさせられる。

 リブゴルフに対抗すべく改革を繰り返しているうちに、「何がファーストであるべきか」が見失われつつあるように思えてならない。

 小さな矛盾が重なり合い、辻褄を合わせるのが大変なようだ。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やテレビ・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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