弁護士が「モラハラ夫」たちと戦って分かった“食洗機”“友人ナシ”“理系”という共通点
モラハラ夫とその妻には共通点もあって…
モラハラ夫は基本的に「内弁慶」。友人がおらず趣味もなく、ゆえに必要以上の関心が家族に向きすぎてしまうのが特徴だと堀井弁護士はいう。他にも共通点があって、
「不思議と理系が多いんです。別の方の相談なのに、同じ大学、同じ会社の夫が続いたケースもあって驚きました。話を聞いてみると、学部に女性が少なく、勉強や研究が忙しくてアルバイトをする余裕もなかったそうです。生真面目で大学時代に遊んでこなかった結果、結婚したら家族に厳しくしてしまうのかもしれません」
一方、相談に来る妻にも共通点はある。
「わたしに依頼される方はしばしば『夫は頭がよくて弁が立つ。先生でも勝てるか分かりません』と不安を口にします。でも実際はそんなことはありません。結婚生活の最初のほうに植え付けられた上下関係から抜け出せなくなってしまっているわけです。洗脳に近いところがありますね。出会いの経緯も、結婚を急いで婚活アプリやお見合いで知り合い、長く交際せずに一緒になったというケースが多いです。年収が高い有名企業に勤めていて真面目そう、友達がいないから悪い遊びもしないモラハラ夫は、一見、“隠れ優良物件”に見えてしまうわけです。女性側にも異性経験が少ないため見抜けなかった、というのは正直あると思います。なかには離婚したいと思ってもまだ目が醒めないのか『夫はモテるのですぐ再婚するかもしれない』と言う妻もいました」
仮に夫が細かくねちっこい「モラハラ体質」だったとしても、反撃できたり、まったく気にせずに過ごすことができる妻であれば、離婚沙汰にはならない。つまるところモラハラ問題には夫婦の相性が左右する要素も大きいというわけだが、堀井弁護士も「うちの家庭も似たようなことはありますよ」と苦笑する。
「実は本で触れた『SDGsを理由にエアコンを使わせない』というのは、私の夫も近いことは言います。『こんなに温度を下げるな」と言うことはありますが、私も息子も『あ~あパパがまた言ってるよ』と言って、目の前でエアコンの温度を下げれば終わり。だからモラハラ問題には夫と妻それぞれのキャラクターによる部分も大きい。極端な話をいえば、モラハラ体質の夫婦同士であれば、家庭はそれはそれで円満なわけです。傍から見たら厄介な夫婦に見えるかもしれませんが……」
「モラハラ夫」に見られる行動
これまでの経験から堀井弁護士は「モラハラ夫」に共通するいくつかの行動を見出してきた。三つ挙げるとするならば、
(1)食洗機を買わない
「著書のタイトルも採用しましたが、妻からの聞き取りを行っていると『食洗機を買ってもらえない』という証言があまりにも多かった。妻を従業員のように見なしていて、家事で楽をすることを『ズル』だとか『怠けている』と受け止めるようです。ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機など便利家電の購入を渋る夫は要注意ですね」
(2)妻が風邪を引いたら「不機嫌」
「体調を崩した妻を心配するのではなく、怒ったり不機嫌になる。自分にうつる可能性をまず第一に考えたり、妻の体調不良で予定が狂ったりするのを嫌う心理です。ホスピタリティ(思いやり)の精神が本当に貧しいのです」
(3)ネットニュースの知らない話題に「イラつく」
「ヤフーニュースのコメント欄に『こんなことニュースにするな』とか怒る人や、訃報に『知らない人ですけれどご冥福をお祈りします』といった皮肉を書く人はモラハラ気質の可能性があります。コメントをすることそのものが悪いのではありません。ニュースの内容ですらなく、自分が知っているか知らないかを基準に怒りを覚えることが危ないのです」
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