WBCで韓国大統領の来日が幻となったのは「韓国側のメンツにかかわること」が要因
幻に終わった
3月10日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドで日本対韓国戦が開かれるのに合わせ、韓国の尹錫悦大統領が来日して岸田文雄首相と共に試合を観戦するとの報道が一時流れた。結果的にそのタイミングでの来日は幻に終わったが、理由は韓国のメンツに関することだったという。
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WBCの話に触れる前に、両国の関係の現状についておさらいしておこう。
尹錫悦大統領は就任後、前政権の反日路線から急旋回して日本との緊張関係の解消に努めてきた。一方の岸田首相も尹大統領の言動を前向きに捉えているようにうかがえる。
「いずれも前任者と違うことをやろうとして意図的な動きをしたわけではないとは思いますが、両国の関係は冷え切るところまで冷え切っていたので揺り戻しといった状況でしょうかね」
と、政治部デスク。尹大統領は日本からの独立運動の記念式典で演説し、日本について「過去の軍国主義の侵略者から普遍的価値を共有し、安全保障や経済、地球規模の課題に協力するパートナーになった」と述べている。
「過去の軍国主義批判がここ最近は定番だっただけに、日本の外務省もその姿勢を評価しているようです」(同)
尹大統領の来日
いわゆる「慰安婦」問題と同様、両国の間に懸案として横たわっていると韓国側が主張してきた元徴用工への賠償についても進展がありそうな気配だ。
「日本側は1965年の日韓請求権協定で解決済みの立場です。一方で、韓国の裁判所は日本の企業に賠償を命じる判決を下してきました。今回、韓国政府が提案したのは、その賠償を韓国政府傘下の財団が肩代わりするものです。これを受け、岸田首相は日韓に関する過去の共同宣言や談話などを踏襲することを表明しました」(同)
ひとことで言えば「未来志向」ということなのだろうが、固まったはずの解決策を反故にするような振舞いを繰り返してきたのが韓国政府だ。
「合意を平然と破るそのスタンスは、ゴールポストを動かすなどと揶揄されてきました。岸田首相もそれをもちろん踏まえつつも、尹大統領をある程度信頼できると見ているようです。G7を広島で開催するにあたって融和ムードを演出したいとの思いもあるでしょう」(同)
そして、3月に尹大統領が来日し、首相と首脳会談を行うことが調整されてきた。
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