パソナが33億円の「コロナ利権」を手にした手口を明石市長が明かす 「落選議員を使って営業を」
「パソナの名刺を渡されて」
「南部さんとは私が市長になってすぐに食事をしたことがありますよ」
と語るのは兵庫県明石市の泉房穂市長(59)。パソナの本社機能の一部は、海を挟んで隣の淡路島に移転が進む。
「落選した国会議員から声がかかりましてね、神戸港から出るクルーズ船での食事でした。“船ひとつプレゼントしたい”と言われ、びっくりしてね。“そんなんいらんわ”と断りました。ご本人はお話も面白く、夢も語る魅力的な人。“淡路島を自分の島にする”“淡路島を面白くしたい”と言ってはった」
“ご近所さん”を慮(おもんぱか)りつつ、自治体との関係については、
「パソナが長年にわたり、政治や行政と大変濃い関係を形成し、利益を得てきたのは明らかです。コロナに限らず、自治体に食い込んでいるという話は聞きます」
そう言って体験談を語る。
「かつての知り合いで落選中の国会議員や市長から久しぶりに電話がかかってきて、“会いたい”と言われることがあるんです。で、会ってみると、パソナの名刺を渡されて。要は営業に来るんです。自治体業務の話で、一応聞いて“考えとくわ”言うて、そのままになっていますね。知り合いに営業かけられると“ああ、そういうことか”と寂しい思いを感じたものです。それが一人や二人じゃありません。ようけ雇ってるな、と思いました」
丸投げできるから楽
落選議員を鵜(う)飼いの鵜のごとく使い、多くの事業を獲得してきたパソナ。だが、こと明石市に関しては、
「明石市はパソナとの関係はありません。排除しろと命令したこともないし、粛々と仕事をしていたら、たまたまそうなったというだけですね」
経済アナリストの森永卓郎氏が指摘する。
「私が経済企画庁にいた1984年から86年の頃には、すでに南部さんは役所に出入りしていました。一朝一夕で作ったネットワークではないんです。役人にとってパソナは丸投げできるから楽なことこの上ない。ゼネコンに委託するようなものなんです」
かように新たな利権は今後も“政商”のもとへ舞い込んでいくわけなのだ。
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