大谷翔平「衝撃弾」でも燻る“不安材料” 侍ジャパン浮沈のカギは「ファンの期待」と「4番」

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ホームラン狙いの強振

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の大谷翔平(エンゼルス)が3月6日に行われた阪神との強化試合に「3番・指名打者」で先発出場した。6年ぶりの日本凱旋で、いきなり2本塁打を放って度肝を抜いた。1本目はフォークボールを最後は片手、片膝を突いて中堅に運び、2本目はバットを折られながらも速球をスタンドへ。同僚選手にも衝撃を与える打撃を連発し、一気に本番への期待感を高めた。

 一方でWBCは今大会が初出場。エンゼルスではプレーオフ出場がなく、ポストシーズンの経験も日本ハム時代の2016年を最後にない。WBCはポストシーズン同様、実力通りの結果が出るとは限らない短期決戦だけに、打者・大谷に不安要素がないわけではないようだ。

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 日本代表に合流間もない3月5日、大谷のフリー打撃を見ていた元NPB球団監督がつぶやいた。

「名古屋(バンテリンドーム)の5階席とは……。あそこまで飛ばす選手は見たことがない。そして、大谷が飛距離に喜んで万歳する姿も。メジャーでとんでもない実績を積んで日本に帰ってきた。イチロー(元マリナーズ)がそうだったように、久々の日本人のチームメートとの連帯感や、所属球団では味わっていない勝負の緊張感を持って戦えることに高揚感があるんだろうな」

 その阪神との強化試合では全球、ホームラン狙いのような強振が目についた。元監督が危惧する。

「思い出されるのは(21年の)メジャーのオールスター戦のホームラン競争。初めての華やかな舞台で大きいのを打とうと力み返り、後半戦に打撃を崩す一因になっていた。去年はその教訓からホームラン競争は辞退したほどだった。一昨年も競争に出ていなければ本塁打数は前半戦断トツだったから、ホームラン王を取れる可能性は小さくなかったと思っている」

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