京都・横浜市で売却額が2億円超え 「1円入札」横行の“黒歴史”もあった「残骨灰」が儲かる理由

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横浜市も2億円超の売却額

 終活・葬儀コンサルタントの吉川美津子氏の話。

「近年、残骨灰の処理を民間業者に委託する自治体は増えています。火葬後の拾骨に関しては、遺族がすべての骨を拾う『全部拾骨』と、一部を拾う『一部拾骨』がありますが、京都や大阪府、北陸地方などは後者に属し、その分、骨壺も小さくなっています。東日本に多い全部拾骨であっても火葬炉には棺や副葬品の残灰のほか、微細な焼骨が残りますが、一部拾骨の地域はその量が膨大になる傾向にあります」

 実は全部拾骨の地域に属する神奈川県横浜市も残骨灰を売却しており、その額は京都市とほほ同じという。

「21年度は残骨灰約63トンを売却し、その額は約2億2000万円となっています。含まれていた貴金属の内訳は主に金、銀、パラジウムが占め、売却収入は4つある市営斎場の照明や内装の改修費などに充てています」(同市環境施設課)

 政令市のなかで最多の人口を誇り、火葬件数も多いことが、全部拾骨であっても横浜市の売却額を押し上げた理由と考えられている。

「1体で3000円以上」

 実は残骨灰に関しては過去、「社会問題化」したことがある。残骨灰に含まれる貴金属を目当てに、自治体による処理委託事業を「1円」で入札する民間業者が急増。金やプラチナなどを抽出・精錬後に専門業者に持ち込み、利益を得る行為が横行したのだ。

 当時を知る首都圏の葬儀業者が言う。

「2000年代後半から徐々に金価格が高騰し始めたことが背景にあった。遺体1体につき数グラムの金や銀を取り出せるケースがあり、それだと1体で3000円以上の利益になった。ただ“遺体でカネ儲け”していることへの批判が高まり、自治体側が数年前から1円入札を排除。ただコロナ禍にあって病院からそのまま火葬される『直葬』が増え、指輪などを外さないまま炉内へと運ばれるケースも増えていると聞く。いまも1円でも0円の入札でもいいから“宝の山”である残骨灰を扱いたい業者は多くいる」

 不届きな業者の手に委ねるより、いまのほうが健全と言えるようだ。

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