ヤクルト「奥川恭伸」が順調な一方で、不安視される選手も…復活を期す選手の“気になる現在地”

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レギュラー定着は不透明

 奥川と種市に関してはここまで期待が持てそうな状況だが、順調な選手ばかりではない。特に苦しい立場となっているのが、昨年揃って脚の怪我で長期離脱となったソフトバンクの栗原陵矢と上林誠知だ。

 栗原は左膝、上林は右足アキレス腱の手術を受け、春季キャンプで実戦に復帰しているものの、レギュラーに定着できるかは、かなり不透明だという。

「2人が離脱している間に、牧原大成や柳町達、周東佑京らが成長したうえに、今年はFAで近藤健介が入団しました。外野はかなりレギュラー争いが厳しいですね。栗原は、サードに取り組んでいますが、レギュラーの右打者は今宮健太とキャッチャーの甲斐拓也しかいない。ですので、(打線の)左右のバランスを考えると、(左打者の栗原や上林ではなく、右打者の)リチャードや新外国人のアストゥディーヨを使いたい場面が多くなるはずです。栗原も上林もオープン戦でかなりのアピールが必要になりますが、故障明けの時期にそういうプレッシャーがかかると、怪我の再発が怖いですよね……。首脳陣がそのあたりをどうやってコントロールするかが重要ではないでしょうか」(前出の編成担当者)

 栗原は2月28日のロッテ戦でスリーベースを含む2安打を放つものの、ベースランニングでは足がもつれる場面があった。2021年の東京五輪で侍ジャパンに選ばれている実力者だが、この走塁からもアピールしなければならないという思いが伝わってくる。果たして栗原と上林は、かつての輝きを取り戻すことができるのだろうか。厳しい競争はまだまだ続いていくことになりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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