尹錫悦大統領「日本は変わった」発言の重大な意味 松野官房長官は何も分かっていない?
「戦後の日本は軍国主義でなかった」と言わない日本
韓国はまだ、法治主義の国家ではない。法や解釈を感情で変える「情治主義」の国家と言われる。「日本は今も軍国主義」との感情が、無理な法解釈を認め、違法な徴用工判決を下した。金大中政権や盧武鉉政権は、「国際法が国内法に優先する」との原則で、徴用工への賠償を認めなかった。それなのに、文在寅大統領は最高裁に徴用工判決を「命じた」と考えるべきだろう。「文在寅の犯罪」である。
尹大統領は「現実を直視し、間違った解釈で法をねじ曲げない」との政治信念を持つ。法律家としての「法による民主主義」への強い思いが、「日本軍国主義は変わった」と発言させた。
戦後の日本は平和憲法を制定し、軍国主義と植民地主義を反省した。ところが、韓国では「日本は軍国主義で、植民地主義」との主張に説得力がある。これを理解できないと、「日本は変わった」との発言が、いかに歴史的で重大であるかが分からない。
日本にも責任はある。日本政府は、韓国での反日運動や反日政策に、「日本は変わった」と、言うべきことを言ってこなかった。言ったら、さらに反発を招くとの「忖度」と勇気のない態度が、「日本はなお軍国主義、植民地主義だ」との意識を韓国民に定着させた。政府スポークスマンの官房長官は、口を酸っぱくして「日本は変わった。軍国主義でも植民地主義でもない」と言い続けるべきだった。今回も、そう発言してほしかった。
旧日本社会党や共産党、左派の論客は「日本軍国主義復活」を非難し、「新植民地主義」を糾弾した。彼らは、あくまでも政治的スローガンで、政治運動として主張したが、韓国ではそうは受け止めない。日本の野党や政治家、知識人が主張しているから「真実だ」と受け止めた。文化的ギャップがある。
今回の尹錫悦大統領の「日本は変わった」発言に、松野官房長官は最大級の賛辞を送り、「戦後の日本は軍国主義ではなかった」と言うべきなのに、言わない。スポークスマンとしては失格だ。役割を果たしていない。早稲田の後輩なので、あえて厳しいことを言わせてもらう。
日本が尹政権に可能な限り協力すべき理由
尹錫悦大統領の「日本は、変わった」発言と、徴用工判決にあった日本企業の賠償を韓国が肩代わりするとの解決策に、日本ではなお疑問の声が残る。「どうせ政権が変われば、また同じだ」との主張だ。この考えにも、一理あるのは否定しない。
だが、問題を混乱させた責任は日本側にもあった。「謝罪しろと」と言われ、何度も謝罪した。それなのに「何度も謝罪した」と、官房長官は主張しなかった。韓国の世論やマスコミに「謝った事実」を列挙して主張すべきだったのに、しなかった。だから「日本は謝っていない」の理解が、韓国では定着した。
徴用工判決は、日本の植民地支配を「違法性の根拠」にしたトンデモない法解釈だ。これを認めたら、日本の国家と法律は全否定される。尹大統領は、法律家としてこの事実を十分に理解している。日本は尹政権に可能な限り協力し、次期大統領が北朝鮮支持の左派にならないように、気を配るべきだ。
[2/2ページ]