上海で中国人女性に騙される日本人サラリーマンが増加中 中華料理店の罠にハメられて【元公安警察官の証言】

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「払うしかないよ」

 女性は、流暢な英語で話しかけてきたという。

「彼女から『今、どんな仕事をなさっているの?差しさわりがあるんだったら、無理に答えなくてもいいわよ』。『どのくらい上海にいるの?あと1回くらい会える?』などと言われたそうです。言葉遣いが洗練されていて、すっかり信用してしまったようです」

 ところが、食事を終え、支払いをしようとすると……。

「男性は、せいぜい2万円くらいだろうと思っていたら、7000元(約14万円)請求されたのでビックリした。そんなバカなとクレームをつけると、店員がメニューを持ってきて、金額を示したそうです」

突然金額が入ったメニューを提示され不審に思ったという。

「しかし、女性から『もう、払うしかないよ』と言われ、もめるのも嫌なので渋々カードで支払ったそうです。女性は店と間違いなく繋がっていますね。ゼロコロナで長らく利益が出なかったので、ぼったくりで荒稼ぎしようというのでしょう」

 このぼったくり、もう一つのパターンがあるという。

「アプリで知り合った中国人女性から最初に喫茶店に誘われます。お茶を飲みながら長い事おしゃべりをして、夕方近くになると、今度は『お腹空かない? 食事に行かない?』と誘ってくるのです。お茶代は女性が払うそうです。引け目を感じた男性は、『食事は僕が持つから』となる。そして連れて行かれた中華料理店でぼったくりに遭うのです。金額は決まって7000元といいます」

 日本総領事館に相談したのは10人だけだが、実際の被害者はもっと多いという。

「既婚者は妻にバレるとまずいので、連絡しないでしょう。同様のぼったくりは、上海だけでなく広州市や香港でも起こっていて、日本人だけでなく他の外国人も被害に遭っています。コロナで苦境に立たされている飲食店が、今後も新たな手法で儲けようとするはずです」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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