タモリ倶楽部終了 40年間他の番組なら無理な企画が成立した3つの理由
成立できた3つの理由
いわば、ほかの番組では成立しないはずのものがなぜか成立していた。それができた理由は大きく分けて3つ考えられる。1つは、言うまでもなく、企画・演出を手がけてきたスタッフの尽力によるものだ。もう1つは、企画を支えてきた特定分野の専門家や趣味人の活躍である。そして、最後の1つは、タモリという絶対的な「ご本尊」の存在である。
そこにタモリがいるからこそ、狭い企画が狭いままで終わらなかった。タモリは多趣味であり、博識であり、どんなものにも独自の視点を見出し、それを面白がることができる。彼は物事を楽しむことの天才なのだ。そして、タモリが楽しそうにしている姿を見て、視聴者である私たちもそれを自然に受け入れられた。
「タモリ倶楽部」終了の理由について、テレビ朝日側は「番組としての役割は十分に果たしたと総合的に判断した」と述べている。ただの決まり文句ではあるのだが、この番組について「役割」という言葉が使われるのは不思議な感じがする。なぜなら、「タモリ倶楽部」とは、いかなる社会的な意義も役割もないものを紹介して、それを楽しむ純粋な娯楽番組だったからだ。
この番組には、無意味という意味があり、無意義という意義があった。テレビというメディアにあった「遊び」の要素がまた一つ失われてしまうことは残念でならない。
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